『地震列島』(1980)
2026年 02月 27日
脚本:新藤兼人、特技監督:中野昭慶、監督:大森健次郎、出演は勝野洋、永島敏行、多岐川裕美、松尾嘉代、松原千明、佐藤慶、松村達雄、村瀬幸子、鈴木瑞穂、滝田裕介、小林トシ江、草野大悟、伊藤敏孝、稲葉義男、加藤和夫、浜田寅彦、山本清、三木のり平、岡田英次、大滝秀治、山崎努、佐分利信という顔ぶれの特撮映画で、これまた20数年ぶりの鑑賞。前半は、地震を予知するもののそれを受け入れてもらえない地球物理学者の主人公が、あの手この手で警告しようと奮闘するも、後半はそれも虚しく実際に地震が起こってしまってさてどうするか、と右往左往する人々を描くという、パニック映画のパターンを踏まえた展開。
だが全編を貫いているのは、本筋からすればどうでもいいメロドラマ。
観客は純粋に地震が起こす災害と、そこから人々がどうやって逃げ延びるのかを見たいだけだと思うのだが。
お話そのものはハリウッド大作の『大地震』と良く似ている。
あちらも主人公と妻と愛人の三角関係のお話だったが、こちらも学者の主人公、その恩師の娘である妻、それに助手である愛人との三角関係のお話だ。
更に、愛人には幼馴染のジャーナリストがいて、彼が密かに恋心を抱いているので二重の三角関係が出来上がっている。
あちらと違うのは、どうやら妻は愛人の存在を知らないか、さもなければそこまでの関係だと思ってはいなさそうなこと。
そして副主人公格であるジャーナリストは、純粋に地震予知への興味と、幼馴染を学者ではなく自分に振り向かせたいという願望の両方で主人公に絡んでくるのだが、残念ながら中盤以降は別行動で接点がなくバラバラにドラマが展開してしまうのが惜しい。
またこの手の作品では、予兆として建物に亀裂が入ってる様子を見せたり、小さな地震が繰り返し発生したりという段階を経るのが一般的かと思うのだが、本作ではいきなり大地震がやってきてしまう。
そしてその肝心の特撮シーンは如何にもミニチュアのビルが倒壊していますという感じだし、首相以下政府首脳は手を拱いて見てるだけ(首相は怒鳴って当たり散らし、閣僚は”不可抗力”を連呼しウロウロしてるだけ)。
そして被害に遭っている人々も何やってるのかよくわからず、災害シーンと上手く融合していないので臨場感が伝わってこない。
劇中で発生する地震の規模はマグニチュード7.9らしく、これは関東大震災クラスで震度としては6前後か。
『大地震』本編で起こった地震もマグネチュード7か8ぐらいだったか。
また、妻を助けて主人公が死ぬという結末なのも『大地震』と同じでこれまた新鮮味ないし、あちらからクレームとか来なかったのか心配になるレベル。
冒頭には「50年間東京は震度5以上の地震を体験していない」といった趣旨のナレーションが流れるが、確かに70年代くらいまでは伊豆諸島などを除くと都内でここまでの地震は起きていなかったようだ。
あの東日本大震災が震度5強だったかと思うが、それ以降は頻度が上がっているのが怖い。





