『陰陽師/氷隠梅ノ巻』 夢枕獏
2026年 03月 02日
今回は「あちちの関白」、「碧瑤杯」、「菓子女仙」、「ひもひめ」、「黄金兼家」、「火車」、「色は匂へど」、「カタリ爺」の八篇を収録。
内容は、といえば今回も特段代わり映えのしないお話ばかり。怪異に巻き込まれる面々も段々と固定されてきているし、何らかの形で一方が晴明の元に届けられ、博雅を伴って事件を解決。
時には道満が手を貸し、もしくは元凶(?)であったりすることもあれば、晴明たちが登場せず道満ただ一人の話もある、とパターンも固定化されている。
ここまで続いてくると晴明と博雅のやりとりを読んでいるだけでほっこりするというか、安心していられるのだが、多少なりとも変化を求めたい人にとってはこのシリーズ、無味乾燥で退屈なものに映っているのだろう。
今後どれだけこのシリーズが紡がれようが、おそらく明確な「最終回」「完結編」というものは書かれないだろう。
いつの間にか、自然と、何らかの形で新作が書かれなくなり、人知れず消えていく定めかもしれない。
とはいうものの、晴明と博雅のやりとりも多少は変化している。
今回収録のエピソードでいえば、二人が酒を酌み交わすお馴染みのシーン、晴明が「呪」の話をしようとすると、ちょっとした表情の変化から博雅がそれに気づき、先手を打って(?)「呪」の話をさせまいとするという件が追加された。
それだけ二人の付き合いも長くなったという訳だ。
そしてそんな博雅を、少々残念そうに見る晴明の顔を想像すると、これまたほっこりする。





