『ルパン三世/バイバイ・リバティー・危機一発!』(1989)
2026年 05月 18日
『ルパン三世』のTVスペシャル第1弾で、監督は出崎統。
OVA『風魔一族の陰謀』で一新されたキャストに代わり、第2シリーズ以降のメンバーが復帰している。
冒頭から山田康雄と納谷悟朗の掛け合い、安心する。
今やルパンたちの犯罪記録はデータ化され、世界中の警察に共有される時代となった。そんな状況に一度は引退を決意したルパンだったが、旧友からの頼みを引き受けた次元の誘いに乗り、世界最大のダイヤを盗み出すため現役に復帰する。一方修行中だった五ェ門は、謎の一団に襲われる美女イザベルを助け、彼女の護衛役を買って出る。
ダイヤの在処を知る次元の旧友は、スリーメイソンと呼ばれる秘密結社の一味に殺され、ルパンは隠し場所とされる自由の女神像ごと盗み出す。
ルパンの元にはマイケルという少年が現れ、世界中のコンピューターのデータの消去や改竄の出来るウィルスを盗み出すように頼み込んでいた。
マイケルはコンピューターのエキスパートであり、それによってルパンの行動を先読みし、接近してきたのだ。
コンピューターによって行動を予測され、二進も三進も行かなくなっていたルパンはその話に乗る。
一方で不二子は独自にスリーメイソンの幹部であるジミーに近づき…という具合に、プロットは二重三重の構造になっている。
ルパンと次元の関係もドライだし、五ェ門や不二子も「ルパン・ファミリー」とはほど遠い一匹狼としての顔を見せてくれるので、なんだか新鮮。
冒頭のルパンと次元の会話も「久しぶり」のニュアンスが強く、TVの第3シリーズとOVAを経ての空白期間が、作品世界の中での彼らの関係性にも影響を与えているようで面白い。
更に物語が進むと、イザベルがスリーメイソンを裏切った元幹部で、コンピューターウィルスの発明者、それにマイケルの母親でもあることが判明と設定がてんこ盛りになる。
イザベルに一目惚れの五ェ門や、例によって美女に弱いルパンを手玉に取るだけではなく、ジミーに対しても色仕掛けで迫るし、スリーメイソンの総帥の好きを誘うために躊躇なく全裸になるしで、今回あまり良いところのない不二子もかくやの悪女ぶり。
そういや五ェ門を誘惑するときも全裸だったっけ。
でも五ェ門へは打算だけで寄り添っていたのではなく、実はマイケルの父親でもある初恋の相手、それが五ェ門に似た面差しの持ち主だったということを今際の際に告げるなど、乙女の顔も持っているのだ。
単なる悪女ではなく、正にゲストヒロインと呼ぶにふさわしい存在感と資質を兼ね備えている。
ラストは少々ほろ苦く、自分としてはよりハッピーエンドに近い締め方でも良かったのではないかとも思うのだが、こういう方向性も決して嫌いではない。
『カリオストロの城』の亡霊にも支配されていないし、後に作られた劇場作品よりも見応えがあるように感じるのは、これは監督の力量ゆえか。





