【徒然なるままに・・・】

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「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”

『魔法ファンタジーの世界』 脇明子

『指輪物語』、『ゲド戦記』、『ナルニア国ものがたり』などの昨今話題のファンタジー小説の魅力について語られた岩波新書の新刊。
ただ著者は氾濫するアニメやゲームには否定的で、どちらかというと古典的作品が「教育上好ましい」と考えていると受け取れる節もあり、また『ハリー・ポッター』を始めとする現在流行っているタイプの作品には一切触れておらず(題名すら紹介していない)、ブームには敢えて背を向けている感がある。

e0033570_14141311.jpg今持て囃されている作品には「暴力的な傾向が強い」とか、「安易な願望達成のために魔法が使われている嫌いがある」といった考察には頷ける面もあるのだが、それだけで作品そのものを否定してしまって良いものかどうか。「面白ければ何でも良い」とするのは大いなる誤りだ、と断言しているのも、今ひとつ肯首しかねる。

単純に「昔は良かった」式な内容にはなっていないのだが、どうも現在のブームへの戸惑い、そして理解出来ないものへの拒否反応が強く感じられてしまうのが残念でもある。
今話題の作品も良いけれど、「他にももっと良いものがあるのだよ」というスタンスであったならば、もう少し共感出来たのだが・・・。
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by odin2099 | 2006-06-01 06:15 | | Trackback(1) | Comments(4)
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Tracked from はらやんの映画徒然草 at 2008-05-25 10:40
タイトル : 本「魔法ファンタジーの世界」
著者は翻訳家ということで、本への思い入れが強いと思われます。 昨今、子供たち(い... more
Commented by koujitu3 at 2006-06-01 21:38
この本、ちょうど今日買ってきた所です。
読み始めたばかりなので、間違っていたらごめんなさい。
脇さんは、視点が子供が大人になるためには何が必要か、という所にあるのだと思います。
だから、これだけ子供向きのファンタジーが読まれているのに、何故読む力のない若者が増えているのか、その疑問を解くために書かれた本なので、ファンタジー本の紹介をしている本というわけではないのです。
脇さんの「読む力は生きる力」を読まれtからこの本を読むと、彼女がこの本を書いた意味を解っていただけるのでは、と思うのですが。
Commented by t2mina at 2006-06-02 22:36
エクスカリバーさん、こんばんは。
どうして最近ファンタジー作品の新作、多いんでしょうね。
それが一番不思議。
単純にきっかけはハリーポッターの成功にあるのかな、と思ったり。」
私もこの本買ってみたんです。
でね、やっぱり、子どもが本好きになるのは、ある程度レールに乗っけてあげる必要があるのかな、と思ったり、それより
読むことを楽しんでいる大人の姿を見るのが自然なのかな、と思ったり。
ファンタジーという言葉で敷居が高くならないでほしいんだけど、ね。
Commented by odin2099 at 2006-06-03 08:58
>koujitu3様

この本が「ファンタジーの紹介本」というよりも、
「子どもの読解力」に関する本なのはわかります。
ファンタジーの持つ構造だとか、そういった面での説明は殆どありませんし。
ただ、こういう本が出版出来たということは、当然昨今のファンタジー・ブームに乗っかってのことですから、
もう少しブーム自体を好意的に、肯定的に捉えて欲しかったかなぁとは思います。
別にブームを否定しているわけではないのもわかりますが、
それへの「警鐘」の部分だけが、妙に印象に残ってしまっているんですよね(苦笑)。
Commented by odin2099 at 2006-06-03 08:59
>minaさん

『ハリポタ』のヒットの影響なのは間違いないと思いますが、
そもそもなんで『ハリポタ』だけがヒットしたのか、というのも謎です。
そういやハードカバーで、『ハリポタ』の批判本が出てますね。
ちょっと読んでみようかな。
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