『岩城宏之ベートーヴェンの1番から9番までを一晩で振るマラソン』
2006年 06月 14日
大晦日には各地で色々な年越しコンサートが行われていますが、一人の作曲家の音楽だけ、しかも交響曲をフルに全曲演奏してしまったというのは前代未聞でしょう。それもたった一人の指揮者で!

この前年には、やはり同じ会場で「ベートーヴェンは凄い 全交響曲連続演奏会」というコンサートが行われていますが、この時は他に金聖響、大友直人と都合3人で指揮を分担し、演奏も東京シティフィルハーモニー管弦楽団と東京交響楽団、二つのオーケストラが担当していましたが、今回の企画では”N響メンバー達による管弦楽団”という、寄せ集めとはいえ一つのオーケストラです。誰しも無謀な企画と思ってしまいがちですが、チケットは完売、コンサートは大成功ということで、昨秋目出度くCDも発売と相成りました。実はかなり興味津々で、行こうかどうしようか迷ってはいたのですが、結局は体調・体力と相談して断念したという経緯があります。
なお昨年も、今度は舞台を東京芸術劇場に移して同様のコンサートが開催され、またもや好評で「これはライフワークだ」と宣言、今年の暮れにも企画があったようですが、惜しくも昨日亡くなられてしまいました。73歳はまだまだという感じではありますが、長年病魔と闘いながら指揮棒を振り続けたとのこと。ご冥福をお祈り致します。
それにしてもこのCD、ライヴ録音のはずなんですが、特有のノイズがありません。曲と曲の間、或いは演奏中にもガサガサザワザワ、咳やらくしゃみやら煩い録音も困りものですが、拍手も控えめで何となく不気味でさえあります。観客の息吹き、熱気、会場の空気が感じられないようではライヴ録音の意味がないと思うのですが。何度聴いても違和感が・・・。
またこのライナーノーツ、曲の解説はきちんとあるのですが、コンサートそのものに触れた箇所が全くありません。クラシックの入門CDではなく、”お祭り騒ぎ”を記録しているのですから、現場の生の声を伝えるのもライナーノーツの使命だと思います。