
ロバート・A・ハインラインの小説、ではなく、
竹宮恵子の漫画の映画化作品。
既成の映画館ではなく、オフシアターでの上映という特殊な形態で公開された作品で、吉田秋生・原作の『悪魔と姫ぎみ』と2本立てで上映された。
自分もデパートのイベント会場で鑑賞したが、お世辞にも見易い環境とは言えなかった。
竹宮恵子作品のアニメ化は
『地球へ…』に続いて2本目だが、前作よりも
絵柄は原作に近付いている。
なお『悪魔と姫ぎみ』は 木ノ葉のこ の声優初挑戦も然ることながら、富山敬、井上真樹夫、神谷明といった当時人気絶頂の声優御三家揃い踏みが売りで、しかも三人ともこの頃は珍しかった三枚目演技を披露しているのがポイントだったが、こちらもキャストの豪華さでは負けておらず、水島裕、古川登志夫、古谷徹、三ツ矢雄二、潘恵子といった次代を担う若手が顔を揃え、それを武藤礼子や柴田秀勝らベテランがサポートするという布陣。
そして井上真樹夫がナレーションを担当している。

お話は、フランスの寄宿舎を舞台にした少年たちと少女のひと夏の青春物語。
まるでフランス映画のような繊細さに満ちた作品で、思春期特有の脆さ、儚さを前面に押し出した小品。
(当時としては)大胆な性描写や、友情だけではない同性愛の表現など、確かに一般劇場向きの素材ではなかったと思わせるものはある。
これにも当時大いなるインパクトを受け、しばらくはその衝撃を引き摺っていたくらい。
二度三度と観たいという作品ではない、というよりも二度三度と観られる作品ではないが、”フェイバリット・ムービー”の一本である。
今見直しても、その鮮度に些かの衰えもない。
全篇を彩る羽田健太郎の音楽も秀逸で、サントラは愛聴盤だ。

なお相方さんが「しねま宝島」にてレビューを披露しておりますので、そちらも是非。
そういえば昔、原作をちょこっと読んだことがあるのだが、結末が確か微妙に違う。
もう少しハッピー・エンドとまでいかないが、明るさのある終り方だったと思ったのだが…。