『ゲド戦記外伝』<ゲド戦記別巻> アーシュラ・K・ル=グウィン
2006年 07月 25日
本編の5巻が出る前に書かれていたのだが、翻訳版は本編を優先した為にシリーズとしては最終巻として刊行された。

「ダークローズとダイヤモンド」は、裕福な商人の息子と魔女の娘との一風変ったラブ・ストーリーで、「カワウソ」共々『ゲド戦記』本編とはかなり違った味わいを持っている。
「地の骨」は、ゲドの師の若かりし頃を題材にしたもので、これを読むとキャラクターの幅が広がって感じられるはずである。例えは悪いが、ちょっと『スター・ウォーズ』の新三部作の雰囲気に近い、というとファンは気を悪くするだろうか。
「湿原で」は外伝中、唯一ゲドが登場するエピソード。大賢人として活躍しているので、本編でいえば3巻の直前にあたるのではないだろうか。とはいうもののゲドは決して主役ではなく、一歩下がった立場から全体を見回す役回りとなっている。
「トンボ」は5巻でのキー・キャラクターであるアイリアンが初登場するストーリーで、4巻と5巻のブリッジとなっている。本来ならば5巻を読む前に読んでおいた方が、より作品が楽しめることと思う。
「アースシー解説」は、この世界の歴史、文化、風土、生き物などの解説。物語仕立てではなく、あくまでも”解説”という体裁をとっている。知らなければ物語が楽しめない、ということもないが、頭の片隅にでも留めておけば、それだけ作品世界に遊びやすくなることだろう。
ということで、本編とは直接関わってこない番外編や、逆に密接にリンクしている物語など多様な構成を見せるこの一冊。無理してでも読まなければいけない、という性質のものではない。ただ、ファンならば押さえておいて損はないはずである。





