『イントルーダー/怒りの翼』(1990)
2006年 09月 20日
これはネイヴァル・インスティテュート・プレス社という、アナポリスの海軍兵学校付属の出版社(海軍関係のレベルの高い実録物や専門書の出版社)が出した二冊目の小説で、つまりその内容の正確さはアメリカ海軍の御墨付ということになる。
過去にこの出版社が出した小説は一冊だけだが、それがかのトム・クランシーの大ベストセラー『レッド・オクトーバーを追え』で、その映画化作品『レッド・オクトーバーを追え!』を製作したプロデューサーのメイス・ニューフェルドが、引き続きこちらも映画化を果たしている(第3弾はリチャード・セットロウの『客船ブラック・シー応答なし』だが、こちらは映画化の声は聞こえてこない)。スタッフも流れているので、言ってみればシリーズ番外編の趣き。もっとも近未来を舞台にしたフィクションであるトム・クランシーの一連の作品群に対して、こちらは近過去を舞台にした実録風という違いはあるのだが。
大筋において原作に忠実だった『レッド・オクトーバー』に比べると幾分か原作からは離れ、また主人公ジェイク・グラフトンを演じているブラッド・ジョンソンに魅力が乏しいものの、ウィレム・デフォーやダニー・グローバーら渋い面々が脇を固め、タカ派で知られるジョン・ミリアス監督が、”男の絆”を強調した快作に仕上げた。盟友ベイジル・ポールドゥーリスの音楽も華を添えている。
もっとも興行的には成功したとは言えないようで、『レッド・オクトーバーを追え!』は以後シリーズ化されたが、残念ながらこちらは続編製作ならず。原作では二作目以降は現代が舞台となり、成熟を重ねたグラフトンを主人公に続いているのだが。
なお、『レッド・オクトーバー』の続々編となる『今そこにある危機』にはミリアスが脚本で参加、デフォーも準主演クラスで出演しているという縁がある。
ところで初めてこの本を読んで映画を観たのは10年くらい前のことだが、その頃読みたくて探していた本があり、観たいと思っていた映画があったのだが、それがこの原作本と映画だったという笑い話のような経緯があった。何せどちらも邦題が違いすぎるからで、このあたりは出版社と配給会社に文句を言いたい気分だ。しかもろくに宣伝もしていなかったし。
感動で、胸が熱くなります。そのうち、DVDを手に入れようかと思っています。
『レッド・オクトーバーを追え』と『デビル500応答せず』が同じ出版社とは気がつきませんでした。アナポリスの海軍兵学校付属の出版社というのもこれまたすごいですね。どちらの作品も泣かせるいい話だと思います。個人的には、「クレムリンの枢機卿」も映画化してほしいです。
結構人が死んだりして暗いお話ではありますが、
一方で爽快感もありますね。
これは監督の持ち味、それにポールドゥーリスの音楽の力でしょうか。
ロザンナ・アークエッドの扱いがちょっと中途半端なのが残念ではありますが。
『クレムリンの枢機卿』、映画化の話はあったようなんですが、実現せずに残念でした。
ショーン・コネリーが再登場するかも知れなかったのに。
もっとも再会するライアンがハリソン・フォードじゃ、まるでインディ・ジョーンズ(苦笑)。
一方でノン・シリーズの『レッドストーム作戦発動』を、ライアン主役に書き直して映画化、なんつー無責任な噂も当時は飛び交っていたんですよね。
それはそうと、このジェイク・グラフトン・シリーズも映像化して欲しいものですが。