『三大怪獣 地球最大の決戦』(1964)
2006年 09月 21日
一方、北アルプス山中に落下した隕石を調べていた村井教授を始めとする大学の調査団は、その異常性に気付き警戒の念を強めていたが、遂に隕石からキングギドラが誕生。かつて金星の文明を滅ぼした恐るべき大怪獣の出現。予言者が唱えていた地球の危機とはこのことだったのである。
その頃新藤は、サルノ王女を精神医学の権威・塚本博士の研究所に連れて行き、彼女を元に戻そうと試みる。しかしセルジナ王国から派遣された暗殺団は、執拗に彼女を付け狙っていたのだった・・・!
ゴジラ、ラドン、モスラの三大怪獣が初めて一堂に会し、宇宙からの侵略者キングギドラに立ち向かうという、ゴジラ物としては5本目にあたる作品。短縮版が再公開されたときには『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 地球最大の決戦』と改題されてしまったが、三大怪獣には本来ラドンが含まれており、それに対抗するゲスト怪獣がキングギドラなのである。
三大怪獣を相手に一歩も引けを取らずに人気怪獣となったキングギドラは、その後何回か地球に飛来してくるが、そのいずれもが宇宙人の手先と化しているので、縦横無尽に暴れまわっているのは実はこの作品だけ。即ち、キングギドラがキングギドラらしくある、唯一の作品でもあるのだ。
それにしてもこの作品の詰め込みぶりは凄まじい。
主人公である新藤刑事とサルノ王女暗殺団との攻防、そして何故金星人と称しているかの謎解きだけでも手一杯なはずなのに、妹の直子が新藤とサルノ王女を引き合わせ、次いで取材を通じて村井教授ら隕石調査団、ひいてはキングギドラ関連の事件との橋渡しをし、一見バラバラの要素がいつの間にかきちんと繋がっているのには驚きを禁じえない。
ラストには元に戻ったサルノ王女と新藤との間に『ローマの休日』風の淡いラブロマンスを描くなど、ドラマは盛り沢山、怪獣映画としての見所はタップリ、とあたかも贅沢なフルコースのような作品である。
強大なキングギドラを前にしてモスラがゴジラとラドンを説得する際に、その会話の内容を小美人が通訳するなど怪獣の擬人化を嫌う向きがあることは承知しているが、それで作品全体の良さが失われるわけでは決してないと思う。
ちなみに主役の夏木陽介は前作『宇宙大怪獣ドゴラ』に続いての登板だが、同じ刑事役、そして演技も同じパターンと言うことで何かシリーズ物のような感じを受けてしまうのはご愛嬌。なお、冒頭部分でサルノ王女が金星人として目覚めるシーンは、後にソックリ平井和正+石ノ森章太郎のコミック『幻魔大戦』に引用されているのは有名な話だろう。
三大怪獣 地球最大の決戦東宝このアイテムの詳細を見る http://www.iga0125.info/work_list_3monster.shtml 特撮作品はじめて観る方には「キングコング対ゴジラ」をと この前の記事で紹介したが、その次に一歩ふみこむとしたらこの作品!!「ゴジラ」(1954)「空の大怪獣ラドン」(1956)「モスラ」(1961)「キングコング対ゴジラ」「モスラ対ゴジラ」(1964)と来て、、、次は「ゴジラ対ラドン」くらいかなあ~と思われ...... more
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私の記憶にゴジラが最凶の破壊者としてだけではなく、正義のヒーローとしても存在しているのはたぶんこの作品の印象からなんじゃないかと思います。たぶん本作をきっかけにその後 ...... more
新藤と妹の直子がTVを見ていると、その番組に小美人が出演していてモスラの近況を伝えてくれるとか、そういったセンスが凄いですよね。
他にも冒頭の円盤クラブの描写なんか妙に浮いてるんですが、後半でその会長さんが再登場して核心を突く台詞を喋ったり等々、関沢脚本には脱帽しっぱなしです。
勿論、それをきちんと映像化した本多演出にもですが。
やっぱりラドンで地球3大怪獣ですよね。ギドラがゲスト。
これ、怪獣の対決以外のお話が、良いですよねぇ。
そうか、、、ローマの休日ねぇ。
若林さん、気品があって、似合っていました。
でも何で日本語??ぎゃははは!
サルジナ国の暗殺団の中にはハヤタ隊員がいたり、ボスは最後に落下してきた岩石を抱きかかえちゃうし、ツッコミどころも満載。
それにしても関沢脚本の凄さには舌を巻きます。
新藤兄妹がTVを見ていると、「アノ人はどうしているんでしょう?」なんて具合に小美人とモスラに話を繋いじゃうなど、演出の巧さもあるけれど、やっぱり脚本だろうなぁ。