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『ホルスト「惑星」ほか』 ラトル&ベルリン・フィル

『ホルスト「惑星」ほか』 ラトル&ベルリン・フィル_e0033570_614472.jpgサイモン・ラトルがベルリン・フィルを振ってホルストの『惑星』を演奏する、しかもコリン・マシューズ作曲の「冥王星」付きだ、ということは音楽史的には大きな事件なのかも知れませんが、門外漢からしてみるとCD発売のタイミングが微妙というか絶妙だったな、ということの方が大きかったです。

ご存知の通りホルストは交響組曲『惑星』を、「火星」、「金星」、「水星」、「木星」、「土星」、「天王星」、「海王星」の七つのパートから作り上げていますが、これは作曲された当時にはまだ「冥王星」が発見されていなかったからです(もっともホルストの存命中に発見されてはいますが、ホルストは追加作曲することはありませんでした)。

その「冥王星」が発見されて70年となる2000年、コリン・マシューズによって「冥王星」が書かれ、今ではこれを含めて全8曲の形式で演奏されることも徐々に増えてきていているようで、今回のラトル/ベルリン・フィル盤も「冥王星」付きの録音となっているのですが、丁度このCDがリリースされる前後に「冥王星」が「惑星」の地位から降格されてしまったのです。

となると今後、せっかく盛り上がってきていた「冥王星」付きで『惑星』を演奏するという機運は一気に沈静化に向うやも知れません。
その過渡期に、大物指揮者と超一流のオケによる録音がリリースされたということが、後々大きな意味を持ってくるかも知れませんね。

なお2枚組のこのCD、<アド・アストラ・プロジェクト>として『惑星』を補完する曲をベルリン・フィル縁の作曲家に委嘱、こうして作られた4曲を2枚目に収録しております。

カイヤ・サーリアホの「小惑星4179-トゥータティス」、マティアス・ピンチャー「オシリスに向かって」、マーク=アントニー・ターネイジ「セレス」、そしてブレット・ディーンの「コマロフの墜落」なのですが、残念ながら自分の印象に残るものはありませんでした。
これから何十回とCDを聴き込んでいけば(?)耳馴染みするのかも知れませんけれど。

Tracked from シャーロットの涙 at 2006-10-02 16:51
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冥王星が降格になっちゃったことで、かえって「冥王星付き」CDの価値がアップするってこともありそうですよね。事実、私も「冥王星」があるうちにゲットしたいと思ってますし、、、。(^^;
とはいえ、やっぱりオマヌケな印象は否めません。ホルストさんにしてみれば迷惑な話ですよねぇ。
Commented by jh7hhn at 2006-09-25 21:45
私はホルスト自身の惑星が一番好きですね。要は、揃っているかどうか、ということではなく、その当時どうで、どういう気持ちであれを作ったか、だと思います。もちろん、ホルストさんが生き返って、冥王星を付け加えたのなら、文句なしに聞きたいですけどね。
Commented by odin2099 at 2006-09-25 22:12
>千夏さん

「冥王星」付きの『惑星』CDは4種類くらいしかないそうです。
僕は他に、NAXOSレーベルからリリースされたデイヴィッド・ロイド=ジョーンズ:指揮/ロイヤル・スコティッシュ管弦楽団のものを持ってます(一番安いんです)。
ただでさえ少ないのですから、これからは益々希少価値になる可能性は大ですね。
今のうちにチェック!ですよ(笑)。

そういえば、「冥王星が格下げされ、最初に困惑したのは松本零士とコリン・マシューズだったはずだ」という文章が、『ぶらあぼ』10月号のこのアルバムのレビュー記事にあるのを見つけ、思わず笑ってしまいました。
Commented by odin2099 at 2006-09-25 22:22
>jh7hhnさん

実は自分も「冥王星」付には馴染めません。そもそもメロディーがなかなか耳馴染みしないもので・・・。
トルヴェール・クヮルテットの『惑星』には「冥王星」(マシューズ作曲とは別物のオリジナル曲)以外に「彗星」や「地球」もあるのですが、あちらは冗談だとわかりますけれど、こちらは大真面目なんですからねぇ。
Commented by Monchouchou at 2006-10-02 04:06
はじめまして〜〜トラバありがとうございます。
私もまぁいろいろな意見があるとは思いますが「冥王星」は別に付けなくても・・・といった感じです。
「金星」「土星」なんかはすごくこのCDいい音だなぁと思いました。
Commented by odin2099 at 2006-10-02 21:17
>Monchouchou様

「冥王星」が追加される前までは、誰か作ってみたら面白いんじゃないの、
なんて考えていたんですが、いざ実際に追加されるとどうもイメージが違う・・・。
勝手なものですね(苦笑)。
でも「冥王星」までは何となく許せるのですが、それ以外の天体も追加してしまうのは反対です。
そもそもホルストの「惑星」は、実際の天体の「惑星」というよりも占星術上のものだそうですからね。
だから「地球」がないそうですし。
Commented by sumito96 at 2006-10-26 23:18
エクスカリバーさん、TB重ねて感謝です! 、「冥王星が格下げされ、最初に困惑したのは松本零士とコリン・マシューズだったはずだ」…には思わず笑ってしまいました(笑) 松本零士はともかく、結果的に「冥王星」のCDが馬鹿売れしたマシューズさんの方は まだ良かったのかなぁとも思いますが~

「アド・アストラ・プロジェクト」…「惑星」を補完する作品…ですか、いやぁ、これらの作品にそんなに重要な意義が与えられていたとは 知りませんでした。。(汗) 今回に懲りず(?) これからもラトル&ベルリンフィルのコンビにはマイナーな曲もガンガン録音していって欲しいと思っています~

Commented by odin2099 at 2006-10-28 09:04
マイナーな指揮者や楽団が、マイナーな曲をレコーディングしても話題にもなんにもなりませんけれど、やはりラトル&ベルリン・フィルくらいの大物がやれば違いますからね。
商売としては有名曲をリリースした方が儲かるでしょうけれども、その合間にちょっと変った作品も取り上げて欲しいですね。
by odin2099 | 2006-09-25 06:14 | 音楽 | Trackback(4) | Comments(8)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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