『プライベートファイル』 ジョエル・ゴールドマン
2006年 09月 27日
容疑者として逮捕されたのは、元警官で今はバーの経営をしているブルース。彼の無実を信じる友人のルー・メイスンは彼の弁護を引き受けたが、状況はブルースに圧倒的に不利だった。
最初に現場に駆けつけた警官で、ブルースの元相棒でメイスンの伯父でもあるハリー・ライマン刑事、市長のビリー・サンシャイン、その秘書官エイミー・ホワイト、カジノを営む実力者エド・フィオーラ、州の賭博委員会の委員長でメイスンの恩師でもあるベス・ハーレル、新聞記者のレイチェル・ファイアストーン等々、様々な人物がメイスンを取り巻く中、カランが有力者に関する「秘密情報ファイル」を隠し持っていたことが判明する。
真犯人の目的はこのファイルにあったのか・・・?
この作品も現役の弁護士によるリーガル・ミステリーだが、2004年のMWA(アメリカ探偵作家クラブ)賞最優秀ペイバーバック賞候補にもなったということである。
だがキャラクターの造型、真犯人の設定も含めて個人的にはあまり楽しめなかった。
物語はミス・リードを誘おうとしているのだけれども、読み手が誤った判断をしたとしてもその後に明かされる真実とやらがスンナリと納得出来るものではないので、やられたというインパクトがないのだ。シリーズ物の2作目か3作目らしいので、その以前の作品を読んでいて作者なり世界観に浸った上でのことならばもっと楽しめたのかも知れないけれど。