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『コナン・ザ・グレート』(1982)

『コナン・ザ・グレート』(1982)_e0033570_23142242.jpgロバート・E・ハワードが生み出した蛮人コナン、初めての映像化作品(のはず)で、主演はこれがおそらく日本初お目見えだったアーノルド・シュワルツェネッガー。
この作品は当時、旅先で観ています。
途中で予定が狂っちゃったので、時間つぶしにフラっと立ち寄った映画館でやっていたのですが、当然予備知識も殆どありませんでした。
<ヒロイック・ファンタジー>というジャンルにも馴染みがなかったので、何だか安っぽい映画だなぁという印象が先に立ってしまい、最初のうちは戸惑うばかりでしたが、途中からはかなり引き込まれてゆき、2時間を越える上映時間も弛れることなく最後まで楽しみました。

見直してみると、CG全盛の現在とは比べ物にならないほどセットは豪華だし、スペインが中心だったというロケーション映像も素晴らしいし、小道具にもこだわりが感じられますので、決して安っぽい作品ではありません。
それどころか何といってもプロデューサーが、大作を生み出し続けているディノ・デ・ラウレンティスなだけに相当な予算が注ぎ込まれているのは間違いないでしょう。
もっとも後追い作品の中には、低予算丸出しのものも少なくないのですが…。

そして特筆すべきは音楽の素晴らしさ! 
監督のジョン・ミリアスの盟友であるベイジル・ポールドゥーリスの最高傑作といっても過言でないこの作品の音楽は、主人公であるコナンが口数の少ない存在であることも手伝って、実に雄弁に物語を語っています
人によっては過剰だと受け止めるかも知れませんが、時に雄雄しく、時に叙情的に、時に官能を湛え、時に感傷的な旋律はひたすら心地よく響き渡ります。

『コナン・ザ・グレート』(1982)_e0033570_23144379.jpgコナンは冒頭に記したようにハワードが書き残した小説シリーズのヒーローですが、この作品は直接原作に材を採ったものではなく、映画用のオリジナル・ストーリーです。
そのために(当然のように)原作ファンからは賛否両論挙がっていましたが、興行的には成功を収め、シュワルツェネッガーも一躍メジャーな存在となり、続編も作られています。
そして数多くの後追い作品を産み落としていますので、一つのジャンルのパイオニア的存在と言えるでしょう。

近年ではTVドラマになったり、アニメーション映画の製作が進められていたり、はたまた新たな実写映画化の話も聞こえてきています。
残念ながら評論家筋からはクロサワ映画、特に『七人の侍』からの多大な影響のみ語られることの多い作品ではありますが、これを機にもっともっと再評価されることを願うものです。

Commented by chibisaru at 2007-07-22 20:13
ヒロイックファンタジーというジャンルの割りに美しくなかったのがちょっと残念でありましたが、シュワちゃんに美しさを要求する私がバカなんだろうな・・・と(^o^;
映画としては、面白かったです。
こういうのが男らしさというんだろうか?とも思ってみたりしましたが、よく作りこんであって、長尺を感じさせてない充実感。
残念ながら音楽を覚えているかといわれると・・・あ、でも壮大な叙事詩というかそういう展開が始まるんだぞーという高揚感溢れるものがあったなというのは、覚えてます。さすがにメロディラインまでは浮かんできませんが(^^;
Commented by odin2099 at 2007-07-22 22:28
公開当時におすぎだったかピーコだったかが、「あの利発そうな少年が、あんなバカ面になるなんて納得行かない!」とか何とか発言してましたっけ(苦笑)。
ただ、原題が「コナン・ザ・バーバリアン」だし、元々コナンは未開人という設定だったはずだから、これぐらいで丁度良いと思います。
ヒロイック・ファンタジーに美形が登場するのは、多分マイケル・ムアコックの「エルリック・サーガ」以降じゃないですかね。

音楽、機会があれば是非聴いていただきたいところですが、作曲家も作品も、いまいちメジャーじゃないもので。
でも洋邦問わず業界内にもファンが沢山いるんですよね。
by odin2099 | 2006-10-08 00:00 |  映画感想<カ行> | Trackback(2) | Comments(2)

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