『家康の父親は武田信玄だった!』 武山憲明/監修:杉山光男
2006年 11月 14日
結論を言ってしまえば、ストレートに武田信玄と徳川家康が実の親子だと主張しているわけではない。信玄、家康は共に途中で影武者と入れ替っており、その影武者同士が親子だった、というのである。
まぁズルと言えばズルなのだが、織田信長の命令とはいえ、妻の築山殿と長男・信康を殺したことや、無謀ともいえる三方ヶ原の合戦に挑んだこと等々、家康のとった奇妙な行動の謎が、その仮定に立つときちんと説明がつくのだと著者は声高に主張する。そしてそれは、ある程度の説得力を読む者に対して発揮しているのだ。

いや、信玄が自分の死を秘匿し影武者を立てたという話はわかるのだが(黒澤明監督の『影武者』もそれを前提にした話だ)、それでも影武者同士が親子で、密かに連携プレーで天下を覗っていたとなるとちょっと辛いものがあるなぁというのが正直なところ。
巻末には「上杉謙信は女だったのか・・・・・・?」も収録されているが、こちらは古くから広く知られている説ということもあって、説得力は段違い。勢いで読めてしまう一冊なだけに、読後に自分なりの仮説を立ててみるのも一興かと。