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『ネバーセイ・ネバーアゲイン』(1983)

初代ジェームズ・ボンドのショーン・コネリーを主演に迎えたシリーズ番外編。
権利関係のゴタゴタから別スタッフに手によって誕生した、『007/サンダーボール作戦』のリメイクである。
よりによって『サンダーボール作戦』をリメイクしなくても、とは思うのだが、製作総指揮のケビン・マクローリーはこの作品の権利しか持っていないので致し方ない。
その後も再々映画化を企て、一時はローランド・エメリッヒ監督、リーアム・ニーソン主演と具体的な名前も挙がったりしていたのだが、結局はボツになり現在は権利関係は落ち着いているはずだ。

『ネバーセイ・ネバーアゲイン』(1983)_e0033570_22102036.jpg巨大犯罪組織スペクターに強奪されたNATOの核弾頭を取り戻すべく再びボンドが立ち上がるという内容で、閑職に追いやられていたボンドが一線に復帰するという展開は本家への皮肉? 
と同時に元祖としての「続編」を意図していたのかも知れない。

ストーリーは概ね『サンダーボール作戦』と同じだが、いくつか細かい相違点があり、事件の発端部分を例に取るとこんな具合。
オリジナル版では軍のパイロットを買収して核ミサイルを搭載したままの戦闘機を盗ませている。
それがリメイク版では、大統領の網膜パターンを移植された将校に演習用のミサイルを本物とすりかえて発射させ、それを回収するという手の込んだものに。
リアリティという点ではオリジナル版に分があるように思える変更である。
当然キャラクターにもアレンジが施されているが、これは一長一短。
二人のボンド・ガール、ドミノとファティマに関しても甲乙つけがたい。
ドミノを演じているのはまだまだ無名だった頃のキム・ベイシンガーだが、歴代随一のHな感じのするボンド・ガールである(無名といえば、あの”Mr.ビーン”ことローワン・アトキンソンがチョイ役で出演、笑いを誘っている)。

さて12年ぶりのボンド役復帰ということで、「年齢的に大丈夫なのか」と危惧されたコネリーだったが、実は現役ボンド(当時)であるロジャー・ムーアよりはコネリーの方が3つ程若い。
また上手く年輪を重ねた感があって、本家シリーズの最終作となった『007/ダイヤモンドは永遠に』の頃よりも颯爽としていて、かつては第一線で活躍しながらも上司とそりがあわずリストラされかかったベテラン、だがまだまだ健在、てな雰囲気はよく出ていた。

ただその熱演虚しく映画そのものの出来は芳しくなく、同時期に公開され「本家VS元祖の対決」と話題になったムーア主演の『007/オクトパシー』にも興業面で惨敗、コネリーの演技のみ絶賛される結果になってしまった。
本家シリーズの一本として製作されていたら状況はかなり違ったものとなっていただろうが、現時点では残念ながら「007=コネリー」を信奉するオールド・ファン向けとしかいいようがない。
せめてアクション・シーンにお馴染みの<ジェ-ムズ・ボンドのテーマ>を使えていたら、オープニングがガンバレルで始まっていたら…少しは印象が変っていたかも知れない。
実際観ているうちに、どうしても頭の中に<ボンドのテーマ>が流れてしまうシーンが幾つかあるし、新任という設定のMは兎も角(本家シリーズでも、演じていたバーナード・リーの死去に伴い二代目が登場している)、マネーペニーはロイス・マックスウェルに、Qはデズモンド・リューウェリンに脳内変換してしまうのだ。


Tracked from 萌映画 at 2006-11-23 20:46
タイトル : ネバーセイ・ネバーアゲイン(1983)
ショーン・コネリーのジェームズ・ボンドが12年ぶりに復活、といっても007本シリーズではなく別プロダクション。本シリーズを皮肉った姿勢をとってはいるが、内容に手抜きは無く、立派に007ものである。 プロットは本シーズ4作目の「サンダーボール作戦」と同じなのだが、展開がやや違う。実際、最初に見た当時は同じ話だとは気づかなかった…。 で、悪役が現代的になっている。クラウス・マリア・ブラウンダウアー演じるラルゴはオタクで狂気な感じで、ゲイリー・オールドマン型(?)の悪役である。ある意味、とても怖い(^^; ...... more
Tracked from シネマ通知表 at 2006-12-26 09:36
タイトル : ネバーセイ・ネバーアゲイン
1983年製作のアメリカ映画。 全米4週連続1位、興行成績$55,432,841の大ヒット。 犯罪組織スペクターによるNATOの核ミサイル強奪事件が発生。特命を受けたジェームズ・ボンドはバハマに急行し、スペクター幹部・ラルゴの愛人との接触を図るが、そこにはスペクターの罠が待ちかまえていた……。「007/サンダーボール作戦」をアメリカ映画界がリメイク。 直前にジャッキー・チェン主演の映画を見ていたせいか、とにかくショーン・コネリーの動きがのろいのろい。その昔川上哲治はピッチャーの投げるボ...... more
Tracked from 映画のせかい2 at 2006-12-27 07:01
タイトル : ネバーセイ・ネバーアゲイン #592
1983年 アメリカ 133分 12年振りにショーンコネリーが復活して作られた「サンダーボール作戦」のリメイク版。リメイク版といってもかなり手を入れているので、ぱっと見、同じ話と思えない。ブロフェルトも長髪とヒゲでイメチェン?してる。ヒットしたら続けて作る予定だった..... more
Tracked from 映画鑑賞★日記・・・ at 2007-04-06 12:51
タイトル : ネバーセイ・ネバーアゲイン
『NEVER SAY NEVER AGAIN』公開:1983/12監督:アーヴィン・カーシュナー製作:アメリカ原作:イアン・フレミング主題歌:ミシェル・ルグラン出演:ショーン・コネリー、キム・ベイシンガー、クラウス・マリア・ブランダウアー♪帰ってきたきたぞ〜、帰ってきたぞ〜ショーン....... more
Commented by jh7hhn at 2006-11-22 22:52
私も今、この療養中に、007シリーズを貯め見しています。
「ゴールデン・アイ」「ワールド・イズ・ノット・イナフ」それから古い「ロシアより愛をこめて」とか。
Commented by odin2099 at 2006-11-22 23:15
新作『カジノ・ロワイヤル』を観る前にシリーズ全作をお浚いしておこうと、今頑張っているところです。
諸事情でおそらく公開後一週間ぐらいは観に行けないと思うので、何とか間に合うかなぁ。

お身体、大丈夫ですか?
まだまだ長引きそうですのでご自愛下さいませ。
Commented by crann at 2006-12-01 20:24
ポスターだけならショーン・コネリーに軍配があがりそうなんですけど・・
ショーン・コネリーのどこが好きって、声が好きです。
吹き替えをしてる若山弦蔵さんもばっちりで♪

カジノロワイヤルのプレミア行きました、そしてネタバレしちゃってますので、ご覧になるまで拙宅へはお越しになりませぬよう・・(笑)
Commented by odin2099 at 2006-12-03 21:01
コネリー=若山弦蔵はピッタリだと思います。
今度出た「007」のDVDも、新録とはいえ若山版の吹替が収録されているのは嬉しい限り。
といっても、まだ聴いていませんけれど・・・。

『カジノ・ロワイヤル』、観るのがもうちょい先になりそうなので、今は情報シャットアウトしてます。
観終わったらこちらでも感想アップしますので、その時は色々語り合いましょう。
宜しくお願いします。
Commented by ゆかりん at 2007-04-06 12:56 x
こんにちは☆
このショーン・コネリーを見るとステキなんですが・・・
MもQもマネーペニーもなんだかなと(笑)
私も変換してました~
Mは仕方がないのですけどね。
ロジャー・ムーアより年下にはちと見えませんけどね。
Commented by odin2099 at 2007-04-07 09:51
よくよく見ると、この頃のロジャー・ムーアも決して若々しいとも思えないんですけれど、コネリーはその前から貫禄ありましたからね。
この二人、若い頃からの友人同士らしいのですが、不思議と共演作はないようです。
10年くらい前に共演作が企画されたこともあったらしいですが、観てみたかったですね。

そういえば何年か前のアカデミー賞のプレゼンターとして、ムーア、コネリー、それにマイケル・ケインの3人が出てきて、寸劇みたいなこと、やってたなぁ。
ケインもこの二人と仲が良いらしく、それぞれ共演作がありますな。
by odin2099 | 2006-11-22 22:10 |  映画感想<ナ行> | Trackback(4) | Comments(6)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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