『フルート・レボリューション』 難波薫
2006年 12月 28日
「美貌と実力を兼ね備えたフルート奏者・難波薫のデビュー・アルバム」
とあります。
収録されている曲も、マスネあり、ケテルビーあり、ヴィヴァルディをルソーがアレンジした作品あり、ショパンにチャイコフスキーもあり、更に武満徹ら邦人作曲家のものもあり、とバラエティーに富んでおります。
それだけならばおそらく購入はしなかったんじゃないかと思いますが、帯には驚くべき一文が・・・!
「特撮ファン狂喜!『帰ってきたウルトラマン』主題歌作曲の冬木透が新作書き下ろし!超美人奏者・難波薫がフルートの常識を覆す革命的アルバム」
な、なんじゃそりゃ?!
・・・と思って収録曲を改めて見てみると蒔田尚昊(冬木センセイの本名です)作曲のものが2曲あり、それぞれ曲名が
「魔笛の主題による変奏曲」
「帰ってきたワンダバ」
となっております。
「ワンダバ」!!
そう、『帰ってきたウルトラマン』を観たことがある人ならば、おそらく耳にこびりついているであろう、哀愁を漂わせ、かつ勇壮なメロディ。
MATチームの出撃や怪獣攻撃のシーン、時にはウルトラマンの戦闘テーマとしても使われた男声コーラスがメインにフューチャーされた、「ワンダバダワンダバダワンダバダダバダ・・・」というアレです。
こういう曲を、フルートにアレンジするなんて想像も出来ませんでしたねぇ。
ファンなら必聴!!
・・・とまでは言いませんが、一聴の価値はあるんじゃないかなと思いますし、他の曲目当てで購入されたという方は、この曲が「ウルトラマン」絡みだということはひとまず忘れて楽しんで頂けたら、と思います。
しかし「ワンダバ」が冬木センセイ作曲の『帰ってきたウルトラマン』のBGMなのは確かなんですが、センセイは主題歌は手掛けておられないんですよね。『ウルトラセブン』なら両方手掛けていらっしゃいますけれど。
この作品からウルトラシリーズは主題歌と劇伴(BGM)の担当者の分業化が始まり、主題歌の方は すぎやまこういち センセのご担当です。後の作品では『ウルトラマンA』、『ウルトラマンレオ』、『ザ・ウルトラマン(途中から)』、『ウルトラマン80』、『ウルトラマンネオス』、『ウルトラマンコスモス』でも冬木センセイは劇伴を担当していらっしゃいますが、主題歌は何れも別の方。ウルトラシリーズのBGMをいち早くレコードとして商品化し、以後も数々のレコード、CDを発売してきたキングレコードとしてはあるまじき凡ミスと言わざるを得ません。
因みにこの曲の収録に際しては、先ごろ物故された実相寺昭雄監督も立ち会っておられたとか。これが最後のウルトラ関連のお仕事だったかも知れないですね。