『決定版 ベートーヴェン<不滅の恋人>の探求』 青木やよひ
2007年 03月 20日
映画の題材としても取り上げられた(『不滅の恋/ベートーヴェン』)この謎に挑んだ著者の、50年にも及ぶ探求の集大成となる一冊。
ベートーヴェンが亡くなって今年で180年になるが、ベートーヴェン自身が書き残した手紙や日記はともかくとして、湯治客名簿(宿帳)や警察記録(旅程を警察に申告したもの)など、当時の記録が意外にも数多く残されてることにも驚かされるが、先人達の研究を受けた著者が現地に飛び、実際にこれら古記録に目を通したり、と警察や探偵もかくやという行動力を持って謎に挑んでいく姿勢にも驚かされる。言葉は悪いが、これはもう何かに”憑りつかれている”と表現した方が良い。こちらも、あたかも推理小説を読むが如く頁を繰っていった。
新資料が発見され、著者の推論を大きく裏付ける結論が出たものの、細部では未だ不確定な要素が多い。それが今後に残された課題だろうが、懸案の<不滅の恋人>自身についてはこれで確定ということらしい。
ちなみに、映画で<不滅の恋人>とされている人物については一顧だにされていない。