トップアイドル神崎ひかる扮する、正義の戦士『鎖鎌戦士ザクザクムーン』。
斬られ役専門から苦節30年、遂に念願の主演を得たものの、放送2回で打ち切りが決定してしまった『秒殺仕事人』中村もずくを演じる中条信之助。
この二人の前に、独裁者から自分達の故郷を救うために力を貸して欲しいと、アイドルメダ星からの使者が現れた。
中条はそれを新番組のオファーだと勘違いし、ひかるは『ザクザクムーン』の海外ロケだと思い込む。
しかしアイドルメダ星人たちは彼らを実際のヒーローだと信じ、<救世主>として崇めていたのだった。

筧利夫と
松浦亜弥のW主演によるミュージカルで、音楽はつんく♂
作・劇団鹿殺し(丸尾丸一郎・菜月チョビ)、構成・演出が岡村俊一。
出演は他に北村有起哉、宮川大輔、富岡晃一郎、森山栄治、大口兼悟、時東ぁみ、青谷優衣、三浦涼介、鷲尾昇、篠田光亮、青柳塁斗、Takuya、成清正紀、中川真吾、たくませいこ、ギャル曽根、小堀裕之、川谷修士ら。
結構人気のある人や有名な人もいるらしいけれど、「ギャルル」の二人を除けば
知らない人ばっかり。
そのせいなのか何なのか、これまでアマチュアに毛の生えたような小規模なものから、豪華なメンバーを揃えた大規模なものまで何十本か舞台を見てきたが、今回ほど楽しめなかったことはなかったかも。
休憩時間を含めても2時間10分程度の短さじゃなかったら、途中で集中力を切らせていたかも知れない。
主演二人のテンション高い早口台詞の応酬も辛かったけれど、歌謡曲ネタを含めた笑えないギャグの数々、「必殺シリーズ」や「セーラームーン」の中途半端なパロディもうんざりだし、お話の基本構造は『ギャラクシー・クエスト』ソックリで、下敷きにしているのは宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』だという徹底した借り物振りには呆れてしまった。
妻子に愛想を付かされている中条、母を捨てた父を許せないひかるの、家族再生のしんみりしたドラマ部分や、辛い現実から目を背けるのではなく、それを受け止めてこその幸せがあるのだという説教臭いテーマなど、無理に盛り込む必要はなかったんじゃなかろうか。
それがなければ、バカバカしいものの明るく楽しめるミュージカルになったと思うんだけども…。
ところで今日の公演は、DVD用の収録が行われるということで客席にも何台かのカメラが設置されていたが、台詞のとちりも何箇所かあり、しかも後半は出演者の
マイクトラブルがあって雑音が大きく入ったり、逆に音声を拾えなかったりということがあったのだが、さてどうするんだろう?
そのままリリースしちゃうのか、それとも今日の夜の部の公演(自分が観たのは昼の部)や他の日のものと差し替えたりして対応するんだろうか?