『憑神』
2007年 09月 15日
で、今日見てきたのは浅田次郎の小説を舞台化した『憑神』、来月には大阪の松竹座にも掛かる予定になっています。
一足早く妻夫木聡主演で映画化もされていますが残念ながら見逃してしまい、原作小説も未だに読んでおりませんので、さてどんなお話なのやら。
時は幕末、下級武士の次男坊・別所彦四郎は、学問も武術も秀でた男。組頭の井上家に婿入りして出世の糸口を掴んだかに思えたものの、些細なことで養父から勘当・離縁され別所家へ出戻る羽目になってしまう。兄の妻に邪魔者扱いされながらも居候生活を送っているが、ある晩酔って土手から転げ落ちた時に小さな祠を見つけ、何気なくそれを拝んでしまう。しかしそれに応えて出てきたのは災いの神々。まず現れたのは貧乏神で、おかげで別所家は経済的な危機に陥る。そして次に現れたのは疫病神、そして最後に現れたのは・・・。彦四郎は安城三河以来の由緒ある別所家を、憑神たちの手から守り通すことが出来るのだろうか?
出演は彦四郎に中村橋之助、その幼馴染み榎本釜次郎(武揚)に葛山信吾、兄の左兵衛にデビット伊東、左兵衛の妻に秋本奈緒美、養父・井上軍兵衛に蛍雪次朗、その娘で彦四郎の妻・八重に藤谷美紀、彦四郎と佐兵衛の母に野川由美子、そして三人の憑神に鈴木杏、升毅、コング桑田らで、脚本・演出はG2。
第一幕と第二幕の間に35分もの休憩時間があるとはいえ、合せて3時間の長丁場。お話そのものの面白さに加え、役者陣の軽妙な芝居にも支えられ、全く弛れることもなく楽しむことが出来ました。周囲からは「眠くなっちゃった」とか「飽きた」とかいう声もチラホラ聞こえてきましたが、そんなことは全くありません。
特に斬新に思えたのはその演出です。
開幕早々に一つの見せ場が用意され、終ると「憑神」とタイトルを記した幕(というか旗か)を広げて見せるのは正に映画のアバン・タイトルさながら。他にも映画的と言えそうな手法が用いられていて、その一例は回想シーンの表現。舞台にもう一つのセットを用意し、過去と現在を語り手が行き来することで、立体的に同時進行で表現して見せているのです。時には双方で科白の応酬もあったりし、これがコミカルさを強調することにもなっているのですから感心しきりです。またこのセットを、くるくると廻して場面転換を容易にするなどの工夫も光りました。
欲を言えば、主演の橋之助と、それに葛山信吾の科白が全体的に聞きづらかったことでしょうか。それでも二人の格好良さは際立っていましたので、充分満足いくものでしたが。
昨年同じ新橋演舞場で上演された橋之助主演の舞台版『魔界転生』は、後にDVDが発売されたりWOWOWで中継放送されたりしてますが、さて今回の『憑神』はどうでしょうか? もしリリースされたら、購入を前向きに検討するでしょうね。
ちなみに私は東京駅から東銀座までたまに歩きます^^;(あちらこちら寄り道しながらなんですけどね・・・。)
DVDは12月に発売になるようですが、その前にどっかの映画館でもう一度やらないかなぁ。
>東京駅から東銀座
これは全く考えないですねー(苦笑)。
双方に用事があって、というなら別ですけれど。
まぁ地方から上京された際に、そういうルートをとるケースはわからないでもないですけどね。
TB返しに来ました(笑)
聞きづらい>課題ですかね?早口になるとたしかにちょっときついかも。
原作>小文吾がいい味出してます。出番が少なかった気が。
あ、釜次郎はほとんど出てきません(^^;)
私は北千住~東銀座(笑)今回は近くてよかった♪
原作でも映画でも勝海舟が大きく出てくるようですね。
その役回りを釜次郎に振ったということなんでしょうか。
改悪だと困りますが、ジャンルによって色々と違いがあるのも楽しいですね。
>北千住~東銀座
えっ?まさか歩いて来たんじゃないよね?
観劇、いいですね~!わたしも「憑神」小説未読、映画も見逃してしまったのですが、すごく気になる作品だったんです。面白かったんですね、いいなあ!!
かなり前に松本幸四郎さんの「オセロ」を観劇して以来、舞台には足を運んでいないので、わたしもチケット取り、めんどうくさがらず、観劇本格的に始めたいと思ってます!
やっぱり生の舞台は良いものです。
同じお話でも、TVや映画で観るより生の舞台で観る方が面白く感じられる気がします。
大きな劇場の後ろの方や2階席などでは別ですけれど、舞台に近かったり小さな劇場だと、手を伸ばせば届きそうな距離なのに、そこには全く別の世界が広がっているのだ、という事実に圧倒されてしまうんです。
出来得れば月に一回、とまではいかないまでも、年に数回はお芝居を観に行きたいと願っているのですが、なかなか・・・(苦笑)。