『モンテ・クリスト伯』(2002)
2007年 10月 03日

このアレクサンドル・デュマの傑作を、その生誕200年を記念して映画化したのがこの作品で、監督はケヴィン・レイノルズ、出演はジム・カヴィーゼル、ガイ・ピアース、ダグマーラ・ドミンスク、そしてリチャード・ハリス。
ビデオ&DVD発売に際して『モンテ・クリスト/厳窟王』と改題されている。
上映時間は約130分あるが、なにせ原作が膨大であるためにその枠に収めるにはかなりの苦心のあとが窺える。かなりのキャラクターやエピソードが省略もしくはアレンジされているのもその為だが、中でも一番変更されているのがキーパーソンのメルセデスだろう。
メルセデスはダンテスの婚約者であり、それを嫉んだフェルナンがダンテス失脚を画策した一人なのだが、そうと知らないメルセデスは失意の中フェルナンと結婚し、一子アルベールを儲けるというのがオリジナルの設定。ところがこの映画版ではアルベールが実はダンテスの子供であり、その事実を隠す為に急いでフェルナンと結婚したということになっており、その堂々たる貫禄ぶりは主人公ダンテスが霞んでしまうほど。ただの”悲劇のヒロイン”にとどまらず、女の強かさを発揮したキャラクターになっているのは現代的アレンジなのか。霞むといえばダンテスの恋敵フェルナンに重きを置いているのもこの映画の特徴だが、演じたガイ・ピアースの魅力もあってダンテスがやはり霞んでしまう。
それでも最後まで見通すと、実はダンテス役ジム・カヴィーゼルの受身の演技あってこそのフェルナンであり、メルセデスであることがわかり、ああやはり主人公はダンテスなんだなと実感させてくれる。そしてダンテスの師となるファリア神父を好演したリチャード・ハリス。この作品と、続く『ハリー・ポッターと秘密の部屋』が遺作となってしまったが、返す返すもその死が惜しまれる。

ただ復讐を果たした”モンテ・クリスト伯”=ダンテスが、メルセデスやアルベールと共に旅立って行くラストシーンは驚愕。この強引なハッピーエンドの導入がハリウッド流なのだろうか・・・?

巌窟王という有名なお話。 デュマの原作を読もうとして挫折した過去が…。 それが2時間程度でまとまっているなら、 見ない手はない!ということで観ました。 ストーリーは、初心者にもわかりやすくてよかったです。 でも、復讐ばっかりの暗い話だわね。 ラストがハッピー..... more

ガイ・ピアースが、いやらしい小者で良かった!やっぱ、主人公がカッコいいだけじゃダメだわ~、ライバルに華がないと、話が面白くならないもの!あの性格の悪い金持ちの坊ちゃん、...... more
映画とはラストが違うんですね。
ハッピーでは終わらなそうな予感がしていたのに
ハッピーエンドだったので、単純に喜んでしまいました(^_^;)
もっと登場人物多いですし、深みのあるものになっています。
興味をお持ちであれば一度は読んでおいて損はないと思いますけれど、完訳版はなかなか手に入らないんですよね、確か。
子ども向けのダイジェストや抄訳は、さてどんな具合になっているやら。
実は、父の書棚に新潮社の「世界文学全集」の一冊としてあるのですが、なんせ出版が1960年代のもので文字は極小だし、訳も超難解だし、どうも手を出す気になれんのですよ。
とりあえずは、映画から入った方が良さげですかね?
僕は講談社文庫の分厚い5巻本で読みました。今は絶版になっちゃったんですよね。
他に完訳版で手に入るのは、岩波文庫の7巻本だけみたい。
ただ、パラパラめくった限りでは、岩波少年文庫の3巻本が比較的ボリュームありそうです。
この映画は、どちらかというと原作を知ってる人が、そのアレンジ振りを楽しむもんじゃないかなぁと思います(笑)。
最初っからこの映画を見ると、う~ん、どうだろう?
人によっては、大デュマに対する冒涜だ!・・・と言い出しかねないですからねぇ・・・(汗)。
未見ですけど、ジェラール・ド・パルデュー主演のTVドラマ版が、比較的原作に忠実とのことです。
NHKでも放送されてましたし、ビデオやDVDも出てます。
ただ、ラストが違うらしいことと、パルデューがどうみてもイメージじゃないのがネックですね(苦笑)。
僕は1942年製作のフランス映画を観ています。大きなレンタル店なら、まだ置いてるところがあるかも。
3時間の大作ですし、比較的淡々としてますけれど、入門編としては良いかも知れません。