『蒲生氏郷』 近衛龍春
2007年 12月 20日
人質として送られた先の織田信長に気に入られ、次女・冬姫を娶って娘婿となり、更には信長の官職名”弾正忠”の一字を貰って忠三郎を名乗り、信長亡き後は羽柴秀吉に仕え、その政権下にあっては徳川家康、毛利輝元、前田利家に次ぐ石高を拝領し、家康そして伊達政宗に睨みを効かせる存在にもなっていた。秀吉や家康よりも年少ながら病に倒れ、40歳の若さで死去。信長に認められ、秀吉、家康からも一目置かれる存在ながら知名度の点では遥かに劣っているのは残念だが、もし氏郷があと10年、15年生き永らえていたら天下は如何様になっていたかを夢想してみるのも愉しい。
しかしながらこの小説で描かれている氏郷像は、自分の抱いているイメージとは幾分か異なっていた。小国の身故の蒲生家の苦労話は頷けるのだが、文武両道に秀でていたとされる氏郷が、己のため家のために功名を得んと血気に逸る猪武者の如き描かれよう。これではかなり興醒めである。
また小説の構成も信長麾下の時代が大半で、秀吉や利家、或いは千利休との関わりや政宗との対決など後半生が駆け足状態なのも勿体無い話だ。





