『摩天楼』<薬師寺涼子の怪奇事件簿> 田中芳樹
2008年 01月 04日
田中芳樹と言えば、『創竜伝』や『アルスラーン戦記』など人気シリーズを多々抱えながら一向に続巻が出ない作家として有名ですが、そんな中で比較的高い頻度で続編が書かれているのが、この「ドラよけお涼」シリーズ。言いたいことを言って好き勝手放題に振舞う彼女の言動に、喝采を上げているファンが如何に多いかということでしょうな。
これはその彼女の記念すべきデビュー作ですが、先に文庫で出版され、後で書き下ろしの短編を添えて新書で出し直し、というのは非常に珍しいこと。普通は新書→文庫というのがパターンですが、全てにおいて型破りな彼女らしいと言えば言えます。
更に凄いのがシリーズを刊行している出版社の変遷で、現在まで8冊出ている内、最初の3冊が講談社、次の2冊が光文社、その次は祥伝社、そのあと講談社に戻り、最新刊はまたまた祥伝社と渡り歩いております。
その都度シリーズそのものが移籍するわけではなく、単に新刊が別の出版社から出るだけ。講談社と光文社は同じ「音羽グループ」だからまだいいものの、祥伝社はライバル関係の「一ツ橋グループ」じゃなかったかなぁと思うのですが、まぁ新刊が読めるのならばどこから出てもいいか。
その神出鬼没のお涼さんですが、最近はイラストを描いている垣野内成美自身の手でコミック化がなされていますが、今度はTVアニメ化が決定だそうです。うーん、毎週毎週お涼さんがTVで大暴れするんでしょうか。映画やビデオならアリだなぁとは思っていたものの、まさかTVシリーズとはね。キチっとお涼さんを動かしてくれるのかどうか、ちょっと心配です。
もっともその昔、TVで実写化というのを夢想したことがあります。ネタに困ったどっかのTV局が、2時間ドラマの枠かなんかで取り上げないかなぁと思ってたんですがね。予算の面ではなかなかキツそうですが。
で、その際のキャスティングですが、TVドラマということを考えればお涼は藤原紀香あたりで決まり? それよりも泉田クンが難しいなぁと考えて、ふと葛山信吾なんかどうだろう?と思いついたりしたんですが、その後二人が共演した単発ドラマが出来ちゃったりして驚いたりして・・・。元ホステスと警察官の夫婦が、協力して事件解決に乗り出すとかいうドラマだったはずですが、そういうラインでのドラマ化ならやっぱ有り得たのかもなぁ・・・。