『オリエント急行の殺人』 アガサ・クリスティー
2008年 01月 26日
様々な国籍、様々な階層の人々が乗り合わせ、季節外れにも関わらず混雑するオリエント急行の車内で、何者かによって乗客の一人が殺害される。雪で立ち往生する車内から外へ出た者はおらず、犯人は車内にいるものと推察される。そこで同乗していたポワロが難事件解決に乗り出す、いうお話で、当然こちらは犯人もその動機も判っていて読んでいたのだけれども、それでも最後まで興味深く読み進めることが出来た。
この作品がポワロ物の、あるいはクリスティー作品の最高傑作なのかどうかはさておき、やっぱり万人に認められる面白い小説なのは間違いないし、映画ならではのアレンジを施しながらも小説を忠実に映像化した、シドニー・ルメット監督以下スタッフ・キャストの功績には改めて脱帽。
ただ何度も書いたけれど、やっぱりこの犯人の正体は「あり」なのかなぁとは思ってしまう。二度は使えない手だ。
そして「復讐」を果たすためとはいえ、「殺人」を肯定しているような内容には若干の疑問を感じる。まぁ登場人物に感情移入して読んでいる、観ている分には分からないでもないのだけれども。