スコットランドの西海岸を大嵐が襲った翌日、カースティは不思議な卵を見つけます。早速弟のアンガスと一緒に家に持ち帰り、お風呂に水を張り、塩を入れてその中に卵を隠しますが、翌朝お風呂を覗いてビックリ。そこにいたのは子猫ぐらいの大きさで、長い首に馬のような頭を持ち、身体にはヒキガエルのようなイボイボがあって、海がめのようなヒレとワニのような尻尾を持った謎の生物。アンガスは直感でこれをキョウリュウだと判断しますが、ガミーおじいさんによるとこれは「ケルピー」とか「水馬」と呼ばれる生物らしいとのこと。最初は反対していたお母さんも許してくれ、カースティ、アンガス、それにガミーおじいさんは庭の金魚池に移しクルーソーと名付けて飼うことになりました。しかし食欲旺盛なクルーソーはどんどん大きくなり、もはや池で飼うことは難しくなって・・・。

偶然見つけた卵から孵った恐竜と、それを世話する家族とを描いた児童文学です。登場人物は姉と弟、両親、母方の祖父、あとは郵便屋さんが何度か出てくる程度の至ってシンプルなもの。クルーソーの存在は勿論ナイショにしているのですが、その存在が周囲にバレそうになったり、その存在を悪用しようとする人が出たり、といったハラハラドキドキの要素とは殆ど無縁にお話は進んでいきます。クルーソーを描くというよりも、それを媒介にして家族の姿を描くことが作者の主目的だったのではないでしょうか。決してドラマティックな内容ではありませんが、じっくりと読ませる内容になっています。
この作品を映画化したのが、まもなく公開される
『ウォーター・ホース』。製作は『ナルニア国物語』と同じウォルデン・メディアで、この作品があったからこそ
『ナルニア国物語』2作目の公開が延期になったという曰く付きの作品ですが、”原作”ではなく
”原案”扱いになっているなど随分と趣きの違うものになっているようですね。それはそれで楽しみではありますが。
また、映画化が決まって割りとすぐの時期に、一体どんな話なんだろうと探してみたんですが、増刷がかからなかったらしく絶版扱いになっていたようです。初版は2000年9月と比較的新しいのに・・・。
映画公開が近付き、ようやく再販されたようで、先ずはメデタシメデタシ。