『十二人の怒れる男』(1957)
2008年 01月 31日
高校時代に友人何人かと「映画ベスト10」を選びあったことがあり、その時にこの作品を1位に推したヤツがいた。当時の自分は「アニメ」と「怪獣映画」オンリー(ではないものの、それが中心)だったし、他の何人かもそんなラインナップだったので、そいつのことが妙にインテリに思えたのだがその時に「一体どんな作品なんだろう」と興味を持ったのが最初である。結局この作品を観たのはそれから何年も経ってからなのだが、頭のどこかにずっと引っ掛かっていて、実際に観た時は兎に角圧倒された。
映画の大半は裁判所の一室のみを舞台とし、互いに素性を知らない男たちが狭く暑苦しい一室に閉じ込められ、時には冷静に、時には激昂しながら議論を繰り広げる中で、徐々に自分たちが纏っていた仮面を剥ぎ取られ、本当の姿を曝け出す羽目に陥るという人間ドラマ。実は少年が有罪か無罪かということはどうでも良く、集められた男たちの内面を抉り出すのが主眼だ。
マーティン・バルサム、ジョン・フィードラー、リー・J・コッブ、E・G・マーシャル、ジャック・クラグマン、エドワード・ビンズ、ジャック・ウォーデン、ヘンリー・フォンダ、ジョセフ・スィーニー、エド・ベグリー、ジョージ・ヴォスコヴェック、ロバート・ウェッバーら十二人の陪審員を演じる役者たちの熱演もあり、密室劇でありながら一瞬も気を抜くことのない緊迫感溢れる傑作になっている。
最近DVDを購入したので久々に観直してみたのだが、相変わらず色褪せることのない名作だ。しかも今回は搭載されてる日本語吹替版を選んだのだが、やはりこの手のディスカッションドラマの場合吹替版の収録は嬉しい。以前よりも細部にわたって楽しむことが出来た。
【12 ANGRY MEN】 1959/08公開 アメリカ 95分監督:シドニー・ルメット出演:ヘンリー・フォンダ、リー・J・コッブ、エド・ベグリー、マーティン・バルサム、E・G・マーシャル17歳の少年が起こした殺人事件に関する陪審員の討論が始まる。誰が見ても有罪と思えた状況で、....... more
日本でも裁判員制度が始まったけれど、考えさせられる映画。 一人の生死がかかっている判断。 そこでは当然、偏見や個人的感情を持たず、公平に冷静に、 判断を下さなければならないのに、それがどれだけ難しいか。 「あいつならやりかねん」というフィルターを通してしまうと、 全ての情報は、有罪の証拠... more
2011年6月11日(土) 15:30~ TOHOシネマズみゆき座 料金:1000円 十二人の怒れる男 [DVD]出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパンメディア: DVD 『第二回 午前十時の映画祭 何度見てもすごい50本』公式サイト TOHOシネマズの『午前十時の映画祭 何度見てもすごい50本』の赤の50本のひとつ。 大昔、テレビで観た。 面白いなと思ったが、再見しても面白かった。 そして、ロシアでのリメイク作品より面白かった。 あちらはかなり長い...... more
オリジナル、ヘンリー・フォンダ版です。ロシア製作の映画版も面白かったですが、こちらを見たことがなかったので見ることにしました。 見ているこちらもむせ返るような暑さが感じられる作品でした。陪審員制度のディスカッションのなか、その暑さが議論の熱さにもなっていく様が描かれています。 これはもう最初から画面に釘付けだったなぁ。モノクロだというのも迫力があって、しかもテンポ良く進むのだから、だれることもない。 11人が有罪としたとき、たった1人がだした答えは無罪。理由は「話し合いもせず青年の生死を...... more
こういう人が大統領になったらアメリカも変わりそうです。(笑)
常にそれが正しいとは限らないですが。
それに理路整然と、冷静に自説を主張しながら、それが過ちであると気付くや潔くそれを認めるE・G・マーシャルの姿勢も尊敬に値すると思います。
議論を続ける内に証言や証拠のあやふやさが浮き彫りにされていく。
「疑わしきは罰せず」という観点からすれば、被告が無罪になるのは当然とも言えます。
ただそれは、あくまでも陪審員たちの間に存在する「事実」なわけで、本当のところはわかりませんよね。
提示された情報からどういう結論を導き出すのか。
観客一人一人がそれを問われている感じです。
この午前十時の映画祭。。。いろいろあって、(お世話になってる映画館のライバルでやってるもんで、大手をふっていけない・・)いきづらいのですが、どうしても見たいのだけ厳選しております。
これも何回見たかわかんないくらい見たのですが、どうしてもまた見たくなる。
これは度派手な映像とかないんで、スクリーンじゃなくても充分だったのですがね。
ヘンリー・フォンダのスマートさを堪能させていただきました。
しかもベテラン中心の安心出来るキャスティングでしたから。
最近TVドラマとしてリメイクされたヴァージョン(ジャック・レモンが主演)もようやくDVD化されましたが、これもなかなか良い出来ですので、機会があればそちらも是非ご覧ください。
多分TSUTAYAならレンタルしているはず?