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『怪獣ゴルゴ』(1960)

アイルランド沖で、海底火山の噴火の影響で目覚めた怪獣が捕らえられた。ロンドンに連れてこられサーカスの見世物となるが、実はこれは幼獣であり、子どもを捜しに親怪獣が上陸、都市は壊滅状態になるというイギリス製の怪獣映画。

『怪獣ゴルゴ』(1960)_e0033570_9411142.jpg監督のユージン・ローリーは、『ゴジラ』の前年に製作され多大な影響を与えたと思われる『原子怪獣現わる』を監督した人だが、そちらではレイ・ハリーハウゼンと組んでパペットアニメで怪獣を表現しているのに、数年後に作られたこの作品では逆に『ゴジラ』を意識してか欧米では珍しいスーツメーション(着ぐるみ)怪獣に挑戦。それ以外にも東宝特撮怪獣からの影響は顕著で、日本の怪獣ファンにも違和感なく受け入れられそう。
ローリー監督は他にも怪獣映画を撮っているらしいが、日本で言えば本多猪四郎や福田純のような存在なのかな。

物語は未開の地から都会へ連れて来られた怪物が暴れだすという、『ロスト・ワールド』『キング・コング』でも御馴染みのものだけれども、親子の情愛(?)を盛り込んでいるのが新味。但し思わせぶりなキャラクターが結局何もせずに退場したり、主人公が中途半端に自己反省したりとドラマ部分は迷走が続く。

特撮場面もミニチュア造型や合成には見るべき点が多く、時折「おおっ!」と思わせるショットもあるものの、やはりノウハウのない悲しさか、東宝怪獣を見慣れた目にはかなり劣って映ってしまう。それに中島春雄のような名人がいないため、ゴルゴの目線が死んでいるのも残念。
戦闘機の発進シーンや駆逐艦などのシーンでは軍のライブラリー映像を使っているようで、それはそれでホンモノの迫力があるのだけれども、昼夜お構いなしに繋いでいるので観ていて非常に気になる。それ以外のシーンでも晴れたり曇ったり、ショットとショットで合わせようという配慮は皆無。比較的金は掛かってそうなのだけれど、案外低予算だったのかも。
それでもこれで二本目、三本目と続けていけば結構イイ線行ったかも知れないが、着ぐるみ巨大怪獣は日本の専売特許のままのようだ。
by odin2099 | 2008-02-02 09:42 |  映画感想<カ行> | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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