『FUTURE WAR 198X年』(1982)
2008年 02月 03日

ソ連の書記長は緊迫状態の中で病に倒れ、超タカ派の国防相が主導権を握り、情報が途絶した中で焦りに駆られたKGB士官の手によって潜水艦の核ミサイル発射ボタンが押されという具合に、悪夢の連鎖反応によってあれよあれよという間に戦争が起ってしまうというのはドラマとしてはなかなか盛り上がるのですが、成り行きで戦争が始まってしまったということではなく、あくまでも戦争を起すためのストーリーなのは、ちょっと作為的な感じが強すぎますね。
ラストでは両国首脳陣は良心に目覚め、街には反戦を訴える人々のデモ行進が起り、メデタシメデタシ。
ところでこの作品、イメージ・イラストを生頼範義が手掛け、キャラクター・デザインもアメコミ調といいますか、ちょっとバタ臭いリアルな感じを出していますし、登場するメカも軍用兵器が中心、とリアルさが売り物ですが、本来ならばアニメーションではなく実写映画でやりたかったのだろうな、という製作サイドの思いが感じられます。
そんな理由もあったのでしょうか、声の出演者も一風変っていまして、主人公には北大路欣也と夏目雅子を起用し、その周囲を金内吉男、柴田秀勝、野田圭一、小林修、大木民夫、中村正、北川米彦、中田浩二、雨森雅司、宮川洋一、青野武、宮内幸平、大塚周夫、納谷悟朗、石原良、徳丸完といったベテランで固め、アニメというよりも洋画の吹き替えのような豪華な顔触れが揃っています。
もっとも声優初挑戦の二人には違和感の方が強いですし、やはり餅は餅屋、本職の方に全てお任せした方が作品の完成度は高まるのですがねぇ。
監督は舛田利雄と勝間田具治の二人でプロデューサーには吉田達、それ以外にもどういう訳か『宇宙戦艦ヤマト』縁のスタッフの名前が並んでいます。