『六神合体ゴッドマーズ』(1982)
2008年 02月 03日

横山光輝原作とは謳っているものの物語は殆ど別物で、シリーズ構成及びメインライターを務めた藤川桂介のオリジナル作品だと言っても良いかも知れません。その内、第一部とされる初期25話分を1時間40分に再編集して作られたのがこの劇場版で、丁度シリーズ終了直前の公開になりました。
お話は西暦1999年、人類が本格的な太陽系外進出を賭けた計画を推進中、突如ギシン星の皇帝ズールから警告が発せられたところから始まります。ズールは地球に対して降伏を勧告し、計画の中心を担うクラッシャー隊の隊員である明神タケルに地球の爆破を命じてくるのです。
タケルは実はギシン星人マーズであり、彼とシンクロしているロボット・ガイヤーには強力な反陽子爆弾が搭載されていること、そして自らの脳波が途絶えた時にその爆弾が爆発することを知るのです。ギシン星の攻撃の最中に養父を失ったタケルは、地球を守るためにズールと戦うことを決意するのですが、そんな時に彼に再三呼びかけてくる声があることに気付きます。それは幼い頃に別れ別れになった双子の兄・マーグで、彼は実の両親の願いやズールの陰謀をタケル=マーズに伝えるのですが、それを知ったズールの手により二人は再度引き裂かれ、敵味方として戦わなければならない運命へと導かれてしまうのです・・・。
ストーリーはダイジェスト版なので勿論ツギハギだらけですが、かなりの量の新作カットを加え、自分のようにTVシリーズを観ていなかった者でもわかるようにストーリーを構成していますので、当時の映画館でものめり込んで観ていましたし、今観直してみてもなかなか楽しめる一本です。
その大きな改変部分としては、主役メカであるゴッドマーズがクライマックスまで登場しないという点でしょうか。
ゴッドマーズはタイトル通り六神合体=6体のロボットが合体して誕生するのですが、映画では頻繁に出てくるのはガイヤーのみ。スフィンクス、ウラヌス、タイタン、シン、ラーもクライマックスまで出てきません。その分、クライマックスのズールとの戦いで最大のピンチに陥ったタケル=ガイヤーの危機に他の5体のロボットが駆けつけ、合体・変形してしてゴッドマーズになるシーンのインパクトは抜群。それにこの作品では映画用に新たに主題歌が作られていますが、そのシーンにはオリジナルのTV版主題歌が流れますのでかなり盛り上がります。
ロボットアニメとしては『機動戦士ガンダム』と『超時空要塞マクロス』の過渡期に位置する作品で、敵味方に別れた双子の兄弟が戦うという悲劇性や秀麗なキャラクターデザインにファンの人気は集中。キャラクターと声優が同一視され、アイドル扱いされるという現象のはしりとも呼べる作品かも知れません(それと、いわゆる”やおい”の元祖格でもあります)。当時のスタッフはこの劇場版を「動くブロマイド」だと称していましたが、そのキャラクターの魅力は今日でも色褪せることはありません。反面、その外面のみに惹かれるファンも少なくなく、キャラクターに対する人気不人気は作り手の意図を超越し、製作サイドの思惑とは違った方向へとストーリーを改変せざるを得なくなったという弊害ももたらしたようです。
ただこの映画化は正にファンの力が実現させたもの。一説には10万人を超えるというファンの署名活動が実ってことのようで、エンドロールではその内の200人ばかりのファンの名前がズラズラと映し出されています。価値観が多様化した現在では、ここまで一つの作品に入れ込むファンが続出するということもなかなかないでしょうね。
因みに原作版『マーズ』は、OVA『マーズ』(未完)とTVアニメ『神世紀伝マーズ』として映像化されておりますが、どちらも未見です。
また『ゴッドマーズ』自体は『十七歳の伝説』という外伝的OVAも作られました。


当時、結構有名だった記憶が・・・。(^_^;)
横山光輝氏が原作だったなんて知りませんでした。
さすがエクスカリバーさん、物知りだ。
勉強になります。m(__)m
リアルタイムで接していた人には「常識」的な話題でも、そういった情報が受け継がれないせいか、すぐに「トリビアネタ」になってしまう傾向がありますね。
せめて自分の知ってるネタは、出し惜しみしないで公開したいな、なんて思ったりして(笑)。
『ゴッドマーズ』、こちらでは『太陽の牙ダグラム』と表裏の放送でした。
よくどっちも長続きしたもんだなぁ(苦笑)。