『ゼロ時間の謎』(2007)
2008年 02月 06日

やがてオードの幼馴染みで彼女に想いを寄せている親戚のトマが現れ、更にカミーラの友人で高名な検事だったトレヴォーズと、キャロリーヌの友人でジゴロのフレッドも招かれて晩餐会が開かれる。だが晩餐が終った後ホテルへと戻ったトレヴァーズは、翌朝死体で発見される。心臓を患っていた彼は発作を起したようだが、その死には不審な点が多かった。
トレヴァーズの死を切っ掛けとするかのように、カモメ荘には不穏な空気が漂い始めた。ギョームがオードに復縁を迫っているのを目撃したキャロリーヌは口汚く罵り、それを知ったカミーラはギョームを諌めようとするが、ギョームは激昂する。ギョームとフレッドは気晴らしに出掛けるが、その晩今度はカミーラが何者かによってベッドの上で殺害された。
たまたま休暇中だったバタイユ警視に声が掛かり、早速事件の捜査が始められたが、凶器と思しきゴルフクラブにはギョームの指紋、カミーラの血痕が付いた上着はギョームのもの、そしてカミーラの巨額の遺産の相続人はギョームという具合に、全てが彼に不利な状況だった。しかしバタイユは証拠が多すぎる点に疑念を抱いていた。
アガサ・クリスティーの映画化としては、これが最新作と言うことになるのでしょうか。自作ベスト10に入っているという『ゼロ時間へ』を、『アガサ・クリスティーの奥さまは名探偵』と同じスタッフで映画化したものです。
この作品にはポワロもマープルも出てきません。といってもクリスティには他にもシリーズ・キャラクターがいて、前作『奥さまは名探偵』は”おしどり探偵トミー&タペンス”、そして今回は”バトル警視”(バタイユという名前に変えられています)ですが、残念ながら知らない人でした。演じているフランソワ・モレルの風貌と相俟って何となく頼りない印象を与えてしまうのですが、なかなかどうして見事な推理を見せてくれます。かえって切れ者然としていない方が意外性があって良いのかも知れませんね。
物語は前半が若干モタモタしていて、自殺を図ったのに助かった男だとか、学校で盗難騒ぎがあってバタイユの娘が疑いをかけられるとか、本筋に入る前に色々なエピソードが描かれていてこれが後半部分の伏線になっているのですが、もう少し手際よく表現出来なかったものかなぁと思ってしまいました。
一転、クライマックスに差し掛かると力技でねじ伏せている感もなくはないのですが、海辺のリゾート地の風景があまりにも美しいので、それで全て許せてしまいますね。
ただ序盤に白っぽい画面が多く、そこに字幕スーパーが被さってしまって非常に読みにくかったのが残念でした。表示する場所や文字の色など、少しは工夫して欲しいものなんですが・・・DVDが出たら吹替でもう一度楽しむつもりです。
今年は、今度は『Le Grand alibi』というクリスティー原作物の映画が公開されるようなのですが、これまたフランス製。本家イギリスを差し置いてなかなか意欲的ですが、この作品も日本で公開されることを願います。



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トラックバックありがとうございます。(*^-^*
前半はもたついていて、後半で一気に展開させていて、テンポが悪かったですよね・・・。
リゾート地の風景・外装・内装・衣装が良かったのが救いでしたね。
>今年は、今度は『Le Grand alibi』というクリスティー原作物の映画が公開されるようなのですが、これまたフランス製。
フランスではクリスティーの小説がブームなのかしら?
有難うございました。
画面が美しいのと、役者さんは皆好演でしたね。
そういう点では結構楽しみましたが、謎解きを楽しむ映画じゃないのかなぁ?
フランス、ブームなのかも知れませんね。
しかしポワロとかマープルとかのメジャー・キャラクターの作品じゃないところにポリシーを感じます(笑)。
>前半が若干モタモタしていて
同感!
クリスティ作品(小説)なんて、とんとご無沙汰ですが、原作もこんなかんじだったでしょうかね。
そうにしても、
映像化した時はもう少し整理して、テンポよく見せて欲しいもんです。
それともこの監督はあの前半の脈絡のないシークエンスがツボなのかしら?
そうなんですよね、アガサ・クリスティーをフランスで映画化ーそれがなかなかいい成功しているんですよね。
おもしろい試みです。
このミステリー、原作は知らないけど、ムードがとても良かったです。
いらっしゃいませ、有難うございます♪
『奥さまは名探偵』もあんまりテンポの良い作品だった記憶はないですねー。
監督の持ち味なのかも知れません(笑)。
原作は近々読みたいと思っているのですが、さてどうなっていることやら。
こちらこそTBとコメント、有難うございます♪
フランス映画ならでは、というのでしょうかね。
ムードは良くて気に入ってます。それに風景の美しさも。
もしかすると犯人は誰だろう?とか、トリックはどうなっているんだろう?などと思いながら観てはいけない作品なのかも知れませんね(苦笑)。
たくさんの話が並んではじめは分かりにくかったですが、自殺未遂の男のことや、偽りの盗難の自白をしてしまった娘の話が最後にきれいに結びついてスッキリしました。
「Le Grand abili」、日本公開されるといいですね。
たしかに、警視の娘さんのエピソード、もう少しなんとか表現してほしかったですね~。でも総じて面白かった。移動音楽隊も印象的でした。「ホロー荘」も楽しみですね!!
お待ちしてました~。
この映画、もう少し上映時間が長くても良かったかも知れないですね。
あの風景が勿体ない気もするし。
で、この記事に書いた『Le Grand alibi』というのが、ようやく公開される『華麗なるアリバイ』のことなんですが、公開が楽しみです。
それでは旅行、気をつけて行ってらっしゃーい♪