『ザ・カウントダウン/地球大戦争』(2005)
2008年 02月 16日
「人類の闇に葬られた歴史が、最新のSFパニックアクション大作となって、遂に登場!!」
「群れをなすエイリアンと人類が地球の支配権をかけて戦う、圧巻の一大バトル・フィールド!!」
・・・なかなか勇ましいコピーが並んでいます。何となく面白そうでしょ?
お話は、突如地球に侵攻して来た火星人によって、人類はなすすべもなく虐殺されていくという内容です・・・。
そう、このコピーと邦題では全然わからないと思いますが、原作はH・G・ウェルズ、つまり『宇宙戦争』の映画化作品なのです。一応ジャケットには小さく書いてありますけれどね。ちょっと不親切。
2005年は何故か『宇宙戦争』が競作になりまして、都合三本の作品が作られました。
一本目は言わずと知れたスティーブン・スピルバーグ&トム・クルーズコンビによる底抜け超大作(笑)の『宇宙戦争』、二本目はかつてはトム・クルーズと並び賞されるアイドルスターだった(?)C・トーマス・ハウエルが主演した『宇宙戦争/ウォー・オブ・ザ・ワールド』、そして三本目がこの作品なのです。三本作られたことはかなり早い段階で知っていたのですが、この残る一本については一向に情報が入ってこないので気になって仕方なかったのですが、昨年ひっそりと先ずレンタルのみでリリースされ、年末になってようやくセル版もリリースされました。これでようやく全ヴァージョン揃った訳ですから、メデタシメデタシ。
しかし!!映画の出来そのものは全くメデタクありません。
『宇宙戦争/ウォー・オブ・ザ・ワールド』もかなり安っぽく、TVドラマかケーブルTV用の作品なのかなぁという感じでしたが、こちらはどうやらビデオリリースのみだった模様。出演者もスタッフも無名の人ばかりで、その素人演技はなかなか辛いものがありますし、画面のレイアウトもカメラアングルも全く工夫なし。平凡というよりは、敢えて劣悪という表現をした方がいいかも知れませんね。
脚本・撮影・編集・監督を一人でこなしたティモシー・ハインズという人も全くの無名さんですが、この冗漫な135分はかなりの苦痛を伴います。導入部分は悪くなく、その延長線上を期待したのですが、見事に裏切られました。
ところがそんな作品でも、充分評価に値する面もあります。
「約120年前――人類は、エイリアンの侵略に絶滅寸前だった!」という今ひとつのコピーからもわかるように、物語の舞台は19世紀のロンドン。つまり原作通りなのです。そして物語そのものも、かなり原作に忠実に展開されます。登場人物も概ね原作通り。
オリジナルと称される1953年版の『宇宙戦争』にしたところで、お話は全くの別物になっていましたので、これが初めての原作小説の映像化ということになるのかも知れません。予告編によれば「時代考証には拘った」ということですから、競作になった他の二本との差別化は立派に果たされています。だからといって、映画そのものが面白くなっているわけではありませんが、時間と心に余裕のある方ならばご覧になってみるのも良いかも知れません。
P.S.
ホントはスピルバーグ版がこうであって欲しかったんですよねー。時間とお金をタップリかけて、ビクトリア朝時代をスクリーンに再現して欲しかったものですが・・・。
『ザ・カウントダウン地球大戦争』 H.G.WELLS’THE WAR OF THE WORLD(2005年アメリカ) 監督 ティモシー・ハインズ 脚本 スーザン・ゴーフォース、ティモシー・ハインズ 出演 アンソニー・ピアナ、ジャック・クレイ、ジェイムス・ラスロップ、ダーレン・セラーズ ■ストーリー■ そこに先住者がいたら世界の主はだれなのか??万物は人類のためにあるのか??よもや19世紀末に人類よりすぐれた知的生物が、人類を観察しているとはを思っていなかった。 19世紀末、イギ...... more
制作年:2005年 / 制作国:アメリカ / 上映メディア:劇場未公開 上映時間:135分 / 配給:インターフィルム / 監督:ティモシー・ハインズ 主演:アンソニー・ピアナ / ジャック・クレイ / ジェイムス・ラスロック −あらすじ− 19世紀後半、イギリス・ロンドンの郊外に隕石が落下。現場に急行した 新聞記者は、隕石から突如エイリアンが現れ、人間たちに攻撃を開始す る一部始終を目撃する。この情報を聞き付けた軍は反撃を試みるが…。 −感想− いまやアルバトロ...... more