『スター・ウォーズ/ダース・ヴェイダー 光と影』 ライダー・ウィンダム
2008年 03月 01日

つまり『スター・ウォーズ』全6作を(スピンオフ作品も含めて)、アナキン・スカイウォーカーの視点で語りなおした作品だということになります。タトゥイーンでストームトルーパーがルークの叔父夫婦を惨殺したのは、オーウェンとベルーのラーズ夫妻を認識したダース・ヴェイダーの命によるものだったり、クラウド・シティで残骸からきちんとC-3POを認識していた、というのはファンには驚きの新事実ではないでしょうか。
ヴェイダーへと変貌した後のアナキンの心理状態、葛藤などが窺えるという点でも非常に興味深い作品ですが、反面、かつてのダース・ヴェイダーの魅力を損なう結果にもなっているのは諸刃の剣でしょう。もはや強大なシスの暗黒卿の姿はなく、そこに描かれているのは愛に囚われた憐れな男の姿でしかありません。段々とダース・ヴェイダーというキャラクターが卑小な存在に感じられるようになってしまったのは、<新三部作>の”罪”の部分でしょうね。
またヤングアダルト小説という制約からか、或いは内容を詰め込んだ弊害からか、記述がダイジェストになっていて、読み応えという点ではかなり不満が残ってしまうのも残念なところです。