『未知との遭遇』(1977)
2008年 03月 26日
「<第一種接近遭遇>とは、UFOの目撃を言う」
「<第二種接近遭遇>とは、UFOの残した物理的痕跡を言う」
こんな感じの広川太一郎の予告ナレーションも懐かしい。
そして<第三種接近遭遇(この映画の原題)>こそ、この映画のクライマックス、「UFO搭乗者との接触」なのだ。
宣伝のポイントもこの点に絞られていたと思う。『未知との遭遇』という邦題も何やらワクワクさせてくれるものがあり、TVで良くやるUFO特番の延長を見るような気持で劇場へ足を運んだ。
開巻すぐ真っ暗な画面にタイトルが現れ、スタッフ、キャストのクレジットが流れてゆく。
こちらとしては「いつUFOが姿を現すんだろう」という期待から画面を注視していると、微かに聞えてきた音楽がやがて段々と大きくなっていき・・・一転してスクリーンに映し出されたのは砂漠の風景。そこで発見されたのは古めかしい飛行機の数々。
これは一体何なんだ?UFOとどういう関係があるのか?と思う間もなく、場面は旅客機の管制センターでの、謎の飛行物体を巡っての管制官とパイロットの緊迫したやりとりへと切り替わる。そしてあれよあれよと思っているうちにやっとこさ主人公が姿を見せ、何が何だかわからないながらも、すでに映画の中へすっかり引きずりこまれてしまい、後はひたすら映像と音楽に圧倒されただけ――。
「UFO入門」だとか「UFOの謎」だのといった本を読んでいた子供心にも、劇中で描かれるUFOが引き起こす現象はリアルに感じられ、高名な研究家がバックについているんだという宣伝文句にも納得したものである。
そして、出し惜しみせずに最後に宇宙人の姿をバッチリと見せてくれるのも嬉しかった。しかもこれまた妙に説得力のあるデザイン。これらは内外の様々なデータに基づいたリサーチの結果なのだろうが、細かいディテールの積み重ねが映画全体の大ウソをウソと感じさせないものにしているのだ。
そして音楽の力。未知の存在とのコンタクトに音楽、しかもシンプルな五音階を使うという発想はどこから生まれたのだろうか。これまた映画ならではの大ウソと言ってしまえばそれまでだが、映画だからこそこの発想を愛したいものだ。
最近しばらくぶりにビデオで見返してみたのだが、ほとんど色褪せていないのには驚いた。もしかするとスピルバーグの最高傑作は、この作品なのかも知れない。
「しねま宝島」から転載したが、前回観直してこの文章を書いたのももう6年近く前のことになった。
<特別編>が作られて以降、基本的には封印されていたこの<オリジナル公開版>も、公開30周年を記念してDVD化されたこともあり、また観たくなってきたもので。
同じ年に作られたこの『未知との遭遇』と『スター・ウォーズ』は、『2001年宇宙の旅』から生まれた双子のような作品とする評が公開当時にはあったのだが、人類を見守る大いなる存在を描くなど、『2001年』からより多くを受け継いでいるのはこちらの方。だからといって同工異曲な作品ということではなく、どちらかというと人類を突き放して捉えているキューブリックの視点に比べると、この作品でのスピルバーグの眼差しは暖かい。
スピルバーグの監督作品をすべて観ているわけではなく、せいぜい70%といったところだが、その中で一番面白いのはこの作品。以前も感じたように、スピルバーグの最高傑作はこの作品なのかも知れないと改めて感じた次第である。
宇宙人の目的が全く分からない内容ながらも、ラストの5音階でのコミュニケーションシーンは印象に強い。人類と宇宙人のコンタクトを主題に描いたSF作品です。 地球全体で何かが起こる予兆を感じさせるシークエンスがOPに使われていて、期待を高めさせていきます。実際に当時忽然と消えた空隊や船などあるようですよね。物語は、各地でUFOを目撃した人々がデビルズ・タワーに導かれ、そこで目にするものは…といった単純なものですが、CGのない時代にこれほどの特撮技術があったとはと驚きです。 それにしても、なん...... more
邦題「未知との遭遇」がまたセンスがいいんですよね
何かが起こるぞという予兆と共に始まるオープニングから、音と光の洪水で終わるラストシーンまで、一気にみてしまう良作でした
スピさんの作品はまだ「激突」とかもみていないし、6割がたしか見てないと思うのですが、それでもやはりこの作品はどこか懐かしさ、望郷感をおぼえてしまうのは、宇宙への憧憬に他ならないのでしょうね
思えばUFO特集とかもいつもつい見てしまう方でした^;
「第三種接近遭遇」だったらお客さんは入らなかったでしょうね(苦笑)。
有効的な宇宙人像と非友好的な宇宙人像、両方の描写があるので宇宙人たちの目的が分かり辛いのと、ロイの行動が突飛過ぎて付いて行けない面があったり、多分もっときっちりとまとめようとすればまとめられるんだと思いますけど、色々な要素がゴチャゴチャに入っているのもこの作品の味かなあと思います。
そしてこの作品を見た後は、やっぱり『ポルターガイスト』と『E.T.』を見るべきでしょうね。