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『スター・ウォーズ/エピソード1~ファントム・メナス~』(1999)

『スター・ウォーズ/エピソード1~ファントム・メナス~』(1999)_e0033570_2258399.jpgリアルタイムで劇場版第一作を観ていますので、映画館の客席に座って「20世紀FOXファンファーレ」を聴き、御馴染みの「 A long time ago in a galaxy far,far away....」のテロップがスクリーンに表示され、そして「スター・ウォーズのテーマ」が奏でられた瞬間の感慨は筆舌に尽くしがたいものがありました。

エピソード6の『ジェダイの復讐』(現在は『ジェダイの帰還』に改題されています)で、”中間三部作”が完結したのが1983年のこと。
1986年には時代を遡ってエピソード1が作られ、以降は3年サイクルで新作を発表。そうすると最終作となるエピソード9の公開が丁度(?)2001年になる、と実しやかに囁かれていた頃でもありました。ところが噂だけが先行して一向に製作決定の声はなく、小説やらコミックやらで中途半端にシリーズは再開されたものの、もはや作られることは決してないのではないか、などと悲観していたものです。
そんな折、旧作のお色直し版(「特別編」)の公開に続いてとうとう製作スタートの報が! 公開を本当に首を長くして待ちました。

小説やコミック、ゲームなどで拡大した<スター・ウォーズ・ユニバース>は、今では5000年の昔から共和国とシスが対立していたという歴史を語っていますが、この映画は劇場版第一作にあたるエピソード4から、32年前に遡って開幕します。
「エピソード1」ということを考え、その壮大なバックボーンを知っていると随分と中途半端だなぁと思ったものですが、以前ファンにアナウンスしていたエピソード7以降の製作を否定し、シリーズが(一応)完結した今になって考えれば、これも納得が行きます。
『スター・ウォーズ』はアナキン・スカイウォーカーという人物の物語なのです。優れたジェダイだったアナキンがダーク・サイドに囚われてシス卿となり、最後にはジェダイとして帰還し、その生涯を終えるまでの物語なのです。

それを考えるならば、物語の始まりはこの時点しかあり得ません
ジェダイへの道を歩み出すきっかけとなった、ジェダイ騎士クワイ=ガンとの出会い。ダーク・サイドに堕ちる直接の原因となりますが、最後には自分を救ってくれる息子の母親となるパドメとの出会い。尊敬と反発、相反する複雑な感情を抱くことになる師オビ=ワンとの出会い。更には自分の運命を直接・間接問わず大きく揺り動かすことになるパルパティーンとの出会い。ここからアナキンの人生は始まったのです。
アナキンはどのように誕生したのか、或いはオビ=ワンやクワイ=ガン、ヨーダらの過去はどうだったのかにも興味はありますが、それらは少なくても本編で描くべきことではないのでしょう。

『スター・ウォーズ/エピソード1~ファントム・メナス~』(1999)_e0033570_22574397.jpg正直に言うならば、この作品を初めて観た時は戸惑いの方が大きかったですね。
<旧三部作>とはあまりにトーンが違いますし、これがシリーズの開幕に相応しいのかどうか疑問にさえ感じたのですが、エピソード2、そしてエピソード3を観た後だと、これで良かったのだなと得心が行きました。ファンですら批判的意見の少なくないこの作品ですが、これ一本だけを取り上げて<旧三部作>と比較するのではなく、エピソード1から3までを一本の映画だと考えれば良いのです。すると見事に一本の糸が貫き通していることに気付かれると思うのですが、如何でしょうか。

余談ですが、自作をちょこちょこと手直しするジョージ・ルーカスのこと、この作品にも幾つかヴァージョン違いが存在しているようです。
一番顕著なのは上映時間の違いで、先に発売されたビデオテープやLD版は劇場公開版に準じていますが、後になってDVDでリリースされたものはそれらに比べると4分程度長くなっています。ルーカス・サイドからすればそちらが今のスタンダートということになるでしょうから、これから鑑賞されようという方は注意が必要です。
もっともその後もヨーダのキャラクターを修正したテストショットを公表したり、3D版の製作を発表したりしていますので、やがてはこのDVD版も消え行く運命かも知れませんが。
Tracked from 羅夢の映画放浪記 at 2008-04-09 15:33
タイトル : スター・ウォーズ エピソード1 ファントム・メナス
評価 ★★★☆☆ 「これは嫌な予感がするな」、スターウォーズ:エピソードI、ファントム・メナスでユアン・マクレガー演じる若き日のオビ=ワン・ケノービは宇宙船から降り立ち、こうつぶやく。 映画史小..... more
Tracked from 映画ダイエット at 2008-04-26 20:50
タイトル : DVD『スターウォーズⅠ/ファントム・メナス』
監督&脚本:ジョージ・ルーカス 出演:リーアム・ニーソン、ユアン・マクレガー、ナタリー・ポートマン、ジェイク・ロイド、イアン・マクディアミッド、ペルニラ・アウグスト、ヒュー・クァーシー、アーメッド・ベスト、アンソニー・ダニエルズ、ケニー・ベイカー、テレンス..... more
Commented by よろづ屋TOM at 2008-04-06 02:19 x
むーん!唸ってしまいました。見事な解釈です。
正直私はぜ〜んぶリアルタイム劇場鑑賞した上で、アンチSWなんです。(理由は割愛しますが)ですが、エクスカリバーさんの記事を読んでおおいに納得がいきました。
ある意味で編集次第で映画は別の作品に化ける事の実証なんでしょうが、大昔なら絶対ありえなかった公開後再編集ありきという昨今の制作方針は「ずっこいな〜」とも思いますけど。

EP6のタイトル、当時スタートレック2とブッキングし、本来STが『カーンの復讐』だったのが結局SW6に取られてしまって『カーンの逆襲』と、なんだか内容とチグハグになってしまった恨みを思うと、『帰還』に改題するくらいならなんで当時譲らなかった!と今更ながら残念ですが。
Commented by odin2099 at 2008-04-06 22:03
>TOMさん

お褒め頂き、恐縮してしまいます・・・。
『スター・ウォーズ』は長らく一作目だけのファンというべき立場だったのですが、<新三部作>が始まってから(始まることを知ってから)シリーズ全部のファンになりました。
で、期待していただけにこの『エピソード1』はアレレ・・・?という部分があったのですが、『エピソード3』まで観て考えを改めました。
<旧三部作>は作品ごとの独自性が高いですが、<新三部作>は全てルーカスが監督しているということもあってか、三本まとめて一本の作品ということで納得しております。

>『スター・トレック2』
そうですね、サブタイトル変更騒動がありましたねー。
そのまま突っぱねても良かったようにも思いますが、パラマウント映画は「インディ・ジョーンズ」でルーカスと組んでいるからなのか、配慮したようです。
by odin2099 | 2008-04-04 23:02 |  映画感想<サ行> | Trackback(2) | Comments(2)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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