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『宇宙戦艦ヤマト/完結編』(1983)

「ヤマトは兄か ヤマトは父か それともヤマトはわが友か」
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――これは主題歌「古代(おれ)とヤマト」の一節ですが、リアルタイムで観ていた者にとってはジーンときます。
自分にとって「ヤマト」というのは、一体何だったのだろうかとよく自問します。

1977年夏に公開された『宇宙戦艦ヤマト』から、ほぼ公開順に自分の思い出に残る作品群を観直してきましたが、ようやっと「ファイナルヤマト」にまで辿り着きました。
最も多感な時期に観たこれらの作品は、正に「わが青春の映画」たち。
といってもノスタルジーに浸るのではなく、その時のまま時間を重ねてきたという感じです。
思い出すのではなく、常に自分の周りにこれらの作品たちがありました。
今の自分の根っこのようなものですね。
その分、全く成長していないということにもなりますが……。

熱心なファン以外は気にしていないと思いますが、「ヤマト」の劇場用作品には細かいヴァージョン違いが幾つか存在しています。
パート1の初公開版(通称”スターシャ死亡篇”)とTV放映版、再公開版との違いは有名でしょうが(他にもBGMを差し替えたヴァージョンなど、ソフトによっても違いがあります)、おそらく『ヤマトよ永遠に』ぐらいではないでしょうかね、目立ったヴァージョン違いがない作品は。
この作品もご他聞に漏れず公開途中に手直しされていますが、それに飽き足らず、後になって70ミリ、4chサウンド、更にカットされたシーンも復元し、作画もリテイクし、編集やアフレコもし直し、上映時間が30分近くも長くなっている<特別編集版>が作られ、現在ではそちらがDVDなどでリリースされて一般的になっているくらいです。
しかし今回はこだわりを持って、最初の公開版(を上映中に手直しした版)を、昔のボロボロのビデオを引っ張り出してきて観直しました。
『宇宙戦艦ヤマト/完結編』(1983)_e0033570_22553332.jpg
最近は2時間を越える作品はとんと受け付けず、映画は1時間半くらいがベストだなぁと思っているのですが、この作品の上映時間は2時間半。
それなのにそれなのに、弛れることなく一気に観てしまいました。
やっぱり自分は「ヤマト」ファンなのだなぁと改めて感じた瞬間です。
そして2時間半もあるのに、消化不良を感じさせるほどの情報量。実際、かなりのエピソード、シークエンスが駆け足で展開していきます。
ガルマンガミラス帝国とボラー連邦の崩壊、行方不明のデスラー総統、水没する謎の惑星(ディンギル星)、太陽系へと回遊してくる水の惑星アクエリアス、突如ヤマトに襲い掛かる謎の艦隊(ディンギル帝国)と未知の新兵器(ハイパー放射ミサイル)、大きな犠牲を出してしまうヤマト、ヤマトを下りることを決意した古代の苦悩と葛藤、死んだはずの沖田艦長の復活…と、これだけの展開がホンの前振りなのですから凄まじいものです。
にも関らず、クライマックスはむしろ音楽をじっくり聴かせるために絵があるといっても過言ではないくらい比重が重くなっています。
そのあたりが「ヤマト」の贅沢さ、そして恐るべき点でしょうか。

そしてこの初公開ヴァージョンの肝といえば、やはりラストの古代と雪のラブシーンでしょう(西崎プロデューサー曰く”まぐわいシーン”だそうですが、古風な表現というよりも生々しすぎますね)。
公開前にも色々と情報が出ていましたが、まさかここまでやるとは…?!というのが当時の偽らざる感想でしたね。
まだまだアダルトアニメが一般化し、「くりいむレモン」などがヒットする前のこと。
「ヤマト」ファンの中心層は小学校の高学年から中高校生というところでしょうから、かなり衝撃的だったのではないかと思われます。
ところが<特別編集版>ではこの件はカットされてしまいます。
西崎プロデューサー入魂のシーンであったはずなのに、何故? 
完成作品の中ではそれ故に出来栄えが気に入らないシーンだったようですが、他にもリテイクしたカットが幾つもありますので、その気になれば徹底的に出来たと思うのですが…。

Tracked from Brianの独り言 at 2008-04-25 21:39
タイトル : ヤマト・完結編
今日は、ゆっくりとビデオ鑑賞してました。 題名は『宇宙戦艦ヤマト 完結編』 内容... more
Tracked from 君らしく 僕らしく・・・.. at 2011-05-21 12:31
タイトル : 自宅でヤマトフェスティバル?3^_^;
 震災以降、水没やら放射能やら人がバタバタ死ぬアニメなんか、しばらく観たくもなかったんですが・・・今日、観ちゃいましたm(__)m。{%トホホwebry%} ... more
Commented by はぎお at 2008-04-24 23:30 x
再びこんばんは。
下↓のコメントは、間違えて「非公開」にしてしまいました(汗)
ヤマト・・・10代前半のほとんどをこれに費やしたと言っても過言ではない(笑)
いろいろストーリー的に問題がありますが(苦笑)、今見ても高品質な映像と最高の音楽。BGM集は車に積んで、今でも聴いています。
ヤマトを映画館で見たのは最後の「完結編」だけでした。でも、この1本だけでも貴重な体験だったような気がします。
Commented by odin2099 at 2008-04-24 23:37
あら、やっぱり間違いでしたか。
TB頂いてコメント非公開とは珍しい、と思ったのですが・・・(笑)。

「ヤマト」はシリーズとしての統一感が無さ過ぎですが(苦笑)、その分荒削りの魅力というか、ファンが何とかしなくちゃ!という面もあったと思いますね。
多感な時期にこういった作品に出会えたのは幸せだったと思います。

で、当分この「懐古趣味シリーズ」(?)は続けるつもりです(爆)。せめて『オーディーン/光子帆船スターライト』くらいまでは。
「ヤマト」に関しては別個に『YAMATO2520』と『大ヤマト零号』まで追いかけますよ~。
Commented by Brian at 2008-04-25 05:56 x
これは一日に3回見ましたよ~。
今のように総入替制で無かったので、こういうことも出来たわけですが・・・。
しかも公開初日に徹夜で並んで見たし、その「まぐわいシーン」を貴重に見たことになりますね。(笑)
徹夜明けで、2回目と3回目の途中で、ちょっち寝てた時間もあったようです。
思い入れのある作品なので、またコメントさせていただくかも?
Commented by よろづ屋TOM at 2008-04-25 13:13 x
ヤマトか…なにもかもみな懐かしい…( -д-)ガクッ

中3でハイジとヤマトを天秤にかけた世代の私は逆にこの作品だけ劇場で観ていないんです。当時22歳でね、社会人だったのと裏事情に詳しい友人との交際から西崎Pの汚いやり方とか食い物にされて泣いてるスタッフの話とか色々聴かされて…
この時も仲間内の第一声が「もおええって」だったくらい。
ヤマトにもスタッフにも罪はなかったんですけどねえ。好きだっただけに哀れで、ほんまにもお「眠らせてやってくれ」って思いましたもの。

むしろもう見たくないと思って自宅にあった資料もビデオも封印したくらい。それでも10年ほど前でしたか、慰安旅行で行った宮崎でふと見つけた模型屋さんのウインドーの中に全長2mの手作りスケールモデルのヤマトを見つけたとき、全身が震えました。やっぱし憧れなんですよね。
飾られたPOPによると、なんでも京都のモデラーがこしらえたものだったとか…数年前に出た1/350なんてカスムほどの迫力でしたが、今どうなってるのかなあ。
Commented by odin2099 at 2008-04-25 22:11
>Brianさん

調べてみると、僕は公開4日目に観てますね。立ち見ではなかったですが、入場制限されてしまったので、外で丸々一回分並びました・・・!
2回観る元気はなかったですね、既に。
で、後でロマンアルバムを読むと、公開初日の最終回で早くもラブシーンを刈り込んでいたようで、結局本当の意味の初公開版は観られなかったということになります。
でも、地方はどうだったんだろう?
元々公開を一週間遅らせても製作が間に合わず、完成版のプリントが出来上がったのは当日。そのために一部の劇場じゃ初日の上映が出来なかったとも聞いています。
となると手直しも間に合わなかったんじゃないかなぁと思っているのですが・・・。
Commented by odin2099 at 2008-04-25 22:17
>TOMさん

パート1世代だと『さらば』まで。せいぜい『永遠に』に付き合ったぐらいの人の方が多いでしょうね。
一方で『さらば』や『ヤマト2』を切っ掛けにファンになった人もいますが、それでもやっぱり『永遠に』で卒業という人も少なくないようです。
なんか不遇な作品だなぁ・・・(苦笑)。
僕はパート1の再公開も、「ヤマトフェスティバル」も、『永遠に』と『新たなる旅立ち』の2本立てもしつこく観に行ってます。自慢にも何にもなりませんけどね(爆)。
ただこの『永遠に』&『新たなる』の公開時に、「こういう時に本当のヤマトファンがわかるんだよなぁ」と話していた方のことは、今でも忘れられません。
結局劇場で観ていないのは、『完結編』の70ミリ版だけだなぁ。
Commented by Brian at 2008-04-25 22:37 x
ええ、地方ゆえの特権で、初公開版をしっかり幸運なことに見れたことになります。
こちらでは初日に手直し版が来たことは無かったようですよ。
この頃は、オールナイトニッポンの特別番組もあってましたね。
眠たい目をこすりながら聞いてましたよ。
沖田艦長とデスラー総統の絡みを期待してたのですが、会釈のみで終わったのが残念でした。(笑)
古代を生かすための沖田艦長復活というのは、無理があると思った記憶があります。
「父と子」を題材にしてるとはいえ、英雄の丘での一喜一憂が虚しく感じられました。
そういう意味では「さらば」が好きなんですよね。
でも、しっかり「FINAL YAMATO」の豪華本は後々購入させていただきました。
これも友人から「ヤマト」、「さらば」、「新たなる」の豪華本を無料で譲ってもらったからなんですが・・・。
おいらにとっても、ヤマトは青春の艦です。
Commented by odin2099 at 2008-04-26 08:38
「オールナイトニッポン」の特番は1月の放送でした(成人式の日)。
その時に西崎Pはちょっと喋りすぎちゃってましたね(苦笑)。古代と雪のラブシーンはキス程度じゃなくもっと凄い(「身も心も結びつき」)ものになるとか、島が死んじゃうとか、ヤマトは最後に爆発するとか・・・。

豪華本は「ファイナルヤマト」だけ持ってませんねぇ。
もっともパート1は分冊版だし、まともに買ったのは「さらば」だけ。
「新たなる旅立ち」も「永遠に」も古書ですが。
Commented by yamatonetusaine at 2011-02-20 02:11 x
ヤマト完結編の時、またかと思い見に行きませんでした。
もうキャラが死んだり生き返ったりしていいカゲンにしてくれと。
あとナウシカと重なってむしろマスコミはそちらを押していましたし
劇場では完結編からナウシカに変えるところもありました。
でもご都合主義はおいといて
個々に見るといい作品です。
最近35ミリのビデオをみてまたちょっといじって
アクエリアスのシーンを入れて初公開版を
再現してみました。
あと最後のヤマト83は燃えますね。
そういう意味で説教臭い70ミリ版より
35ミリ版のほうが好きです。
今は封印されている35ミリ版ですが
ブルーレイあたりで復活してほしいです。
Commented by odin2099 at 2011-02-20 13:41
『ナウシカ』は翌年公開なので、おそらく『幻魔大戦』か『クラッシャージョウ』ではなかったでしょうか?
何れにせよ、「ヤマト」人気も(ついでに言うなら松本零士ブームも)下火で、劇場では大きなヒットとは行かなかったようです。

「ヤマト’83」は、1コーラス目のアカペラ・ヴァージョンが好きなので、本編では流れずに残念。
ヤマトがアクエリアスの海に消える辺りで流れていたら・・・などと公開前は妄想していたのですが、トランザムとか八神純子とか、歌のオンパレードになってしまい食傷気味でした・・・。

一度はソフト化されていたので、オリジナルのネガは残っているんじゃないかと思うので、今後何らかの形でこちらも再発売して欲しいものですね。
Commented by yamatonetusaine at 2011-02-21 00:14 x
たしかにナウシカの公開は1984年ですね。
失礼致しました。
そういえば戦艦大和の実際の海底での様子
がわかってきたのは1985年、そして1999年に
「いまよみがえる戦艦大和」で
極めて鮮明に映し出された戦艦大和は
船体が二つに分かれていました。
あと余談ですが
ゲストで出演されていた松本零士氏が号泣
していました。
1983年の完結編でも二つに分かれて
いるような表現をしていたので
驚いています。
大和とヤマトの不思議な縁の
ような気がします。
Commented by odin2099 at 2011-02-21 22:56
『完結編』公開前、西崎Pも戦艦大和を実際に探しに行ってますが、その時はどういう状態で沈没したかはわかっていなかったんでしたっけ? だとしたら不思議な符合ですね。

最近公開された『SPACE BATTLESHIP ヤマト』では、敢えてアニメ版に敬意を表して真っ二つではない戦艦大和を描いたようですが。
Commented by yamatonetusaine at 2013-06-26 18:28 x
おひさしぶりです。

ご存知だと推察されますが
2013年の年末に発売される完結編
は35㎜版ですよ。
楽しみです。
Commented by odin2099 at 2013-06-26 22:32
どうやら本当に35m版みたいですねえ。
ネットオークションなどで同時のソフトが高値で取引されている現状を嘆いていましたので、そうだとすれば非常に嬉しいです。
またなんで発売に至ったのか、その経緯も気になります。

しかし今のスペックを考えれば、70m版の同時収録も不可能じゃないはずですが、どうもファンのニーズに対してピントはずれな部分があるように思えてなりません。
by odin2099 | 2008-04-24 23:04 |  映画感想<ア行> | Trackback(2) | Comments(14)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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