『ドキュメント 太陽の牙ダグラム』(1983)
2008年 05月 02日

あちらが名場面集の「グラフィティ」ならば、こちらは「ドキュメント」。惑星デロイアの、連邦国家地球からの独立戦争の模様を、モノクロのざらついた映像を多用するなど迫真のタッチで描いた力作である。
TVシリーズは1年半にも亘る長丁場だったが、ロボット主体のアクション物を期待して観ていたファンの目の前に展開されたのは骨太な政治ドラマ。主人公が所詮は歴史の駒に過ぎず、熱心に観ていたファンからもストーリーが追い難いという批難の声も挙がっていたようだが、この作品では各々の登場人物の視点ではなく俯瞰で描かれているため、自分のようにTVシリーズを観ていなかった者にも充分に判りやすいものになっている。
というより、今見直した方がよりドラマが判りやすく感じたのはそれだけ自分が成長したからなのだろうか。

そこはスタッフも「ドキュメント」ということで割り切って作っているものと思われる。
キャラクターに魅力を感じ、人間ドラマの部分に期待して劇場に足を運んだ人にとっては著しく不満の残る作品だったろうが、『ザブングルグラフィティ』共々再編集アニメ映画のありように一石を投じた二本立てだった。ある意味では、サンライズの底力を見せ付けた興行だったと言えるだろう。
もっとも、残念ながら両作品の一般的な知名度の問題か、或いは殆ど宣伝らしい宣伝もしなかった故なのか、興収面では芳しい結果は得られなかったようだ。自分も公開後一週間くらいで劇場に足を運んでいるが、数百人は優に入れる映画館の客席はガラガラで、せいぜい数名程度だったことを覚えている。
私は本放送は観ましたが、ほとんど記憶ありません。でも仰る通り今観たら楽しめるかも。ただ、当時の印象から思い起こす限りでは、プラモはまだしも1stガンダムほどにキャラクターに魅力がなかったのが致命傷だったなあと友人と話していたような。
こうした作品があっての反省面から『ボトムズ』が生まれ、今のガンダム00などに繋がる『ほどよい政治ドラマの作り方・からめ方』の基礎になったんだと思います。
でも実際、政治を絡めた歴史ドラマ仕立てにするのは想像以上に難しいのでしょうね。キャラも背景もシッカリしていたはずなのに、『銀英伝』のアニメって思っていたほどのめれなかったですから。
ところが上映時間が過ぎていて、次の時間は『戦場のメリークリスマス』だったので見るのをあきらめました。
今思えば『戦メリ』を見ておけば良かったと後悔しております。
さて、この作品って上映時に『チョロQダグラム』ってありましたよね。
もちろんディフォルメでダグラムがチョロQに変形するんですよ。
この頃からリアルロボットのディフォルメが盛んになっていったように記憶しております。
当時の新宿松竹へ観に行ったのですが、あそこはその頃600~700席くらいはあったのかなぁ。
まだ新宿松竹と新宿ピカデリー2の、二つの映画館に分割される前だったと思いますけれど、確か観客は7~8人しかいなかったと記憶しています。
翌84年の『超人ロック』は日本アニメーションだったし、『ボトムズ』『ダーティペア』『バイファム』のOVA三本立てはごくごく小規模公開だったし、87年春の『バツ&テリー』と『ダーティペア』の2本立てまで、松竹はサンライズと組んでいませんね(苦笑)。
その次の88年春は『逆襲のシャア』でしたが。
こういった政治劇だと、ドキュメンタリーとして切り取った方が、よりリアルに感じられるんじゃないでしょうか。
後は残念ながら吉川さんのデザインしたキャラクターの魅力がねぇ・・・。
これが例えば安彦さんや糊川さんだったら、もっと人気が出たんじゃないかと思いますね。
はい、ちゃんと『チョロQダグラム』の記事、アップしましたよん♪
この短編、これまでビデオソフト化されてなかったんですよね、確か。
今はDVDに入っているのでようやっと観直すことが出来ました。