『アンドロメダ・・・』(1971)
2008年 05月 28日
この未曾有の事態に対処すべく、今日あるを予期して各分野のスペシャリストを集めて組織されたプロジェクト・チームが招集される。
主な登場人物は4人の科学者と医師、その助手たち、それに事件の鍵を握る2人の生存者のみ。そして舞台は、地下に建設された秘密の研究施設にほぼ限定された異色のSF映画。
原作はマイクル・クライトンの『アンドロメダ病原体』で、主役4人の名前や性別(1人だけ女性に)、役廻りを微妙に変えながらも、概ね忠実にスクリーンに移し変えた。良し悪しは兎も角、各キャラクターが原作よりも人間くさくなってはいる。
アーサー・ヒル、デビッド・ウェイン、ジェームズ・オルソン、ケイト・リード、ポーラ・ケリーと、殆ど名前の知られていない地味なキャスト陣だが、研究施設へ入るための「消毒」手続きや、回収した衛星の付着物を研究するプロセスを省略せずにタップリと見せるなど、ディティールとリアリズムにこだわったドキュメンタリー・タッチが効果的。音楽も殆どが効果音的な使われ方で、かなり無機的な印象も与えている。
重要な小道具であるコンピューターの描写には時代の流れを感じさせられるが、当時としてはかなり斬新なはず。というよりもクライトンの発想に、ようやく時代が追いついたということなのだろう。
未知の生命体の核心に迫るクライマックスと、作動してしまった研究施設の自爆装置を解除するタイム・サスペンスは映画ならではのもので、小説を読む分には今一つ伝わりきらない緊迫感が正攻法で描写されている。
ただし相対的に知的好奇心(特に理数系の)に訴えかける内容なので、ディティールの積み重ねに対して集中力が持続しない人には辛い映画かも知れない。
オリジナルは130分。これを長いと感じるか、適当と受け取るかで評価は分かれるだろう。
クライトン作品の情報量を消化するにはこれでもまだ足りないくらいなのだが、個人的にはTVの映画枠(正味90分程度)で見たヴァージョンの方が面白く感じられた。これには家弓家正、真木恭介、中西妙子、中田浩二、島宇志夫、勝田久、八奈見乗児、塩見竜介、鈴木弘子ら吹替えメンバーの好演もあってのことだが(DVDに収録されているのは堀勝之祐、中庸助、片岡富枝、小室正幸、品川徹、目黒未奈、藤本譲らが担当した新録版)、文系の自分にとっては字幕を追い続けているのは苦痛だったからという理由もある。
監督はロバート・ワイズ、特撮を担当しているのは『2001年宇宙の旅』や『未知との遭遇』、『スター・トレック』で知られるダグラス・トランブル。
『アウトブレイク』などの作品を例に挙げるまでもなく、未知の病原体を扱った細菌パニック物とでも言うべきジャンルは、充分今日的な題材。現在のテクノロジーでリメイクしてみても面白いかも知れないと思っていたが、先ごろTVのミニ・シリーズとして実現。確か昨日か一昨日あたりに放送されているはず。
プロデューサーがリドリー&トニーのスコット兄弟で、監督はミカエル・ソロモン。おそらく日本でもそのうちBSかCSで放送されるか、DVDがリリースされるだろうが、予告編を観る限り、ストーリーもキャラクターもかなり変更されているようなので不安の方が大きいのだが・・・。
1971年 131分 監督 ロバート・ワイズ 出演者 アーサー・ヒル、デビッド・ウェイン、ジェームズ・オルソン、ケイト・レイド、ポーラ・ケリー ニューメキシコの片田舎に人工衛星が墜落する。 近くの小さな町は、赤ん坊とアル中の老人を除き、全滅してしま....... more
『404』でしたっけ。計算不能を表すコード。
あの何重もの消毒プロセスや、女性博士の別理由による点滅灯のトラウマなど、私も大好きな映画です。もちろん、オリジナル長版は知りませんが…
タイムトンネルといい、どうも幼い頃にこうした設定をさんざん見たせいか、地下秘密基地というのにビビッと来るんですよね。
しかもなんと、リメイクされましたか。気にはなるなあ。
以前字幕オンリーで観た時は、かなり辛かったのを覚えています。
音楽は淡々としてるし、派手な画面作りなんかとは無縁だし、字幕は専門用語ばっかりだし。
吹替は随分簡略化、簡素化しちゃってる点があるのですが、こういうディスカッション物はやっぱりそちらの方が楽ですねぇ。
リメイクもあるんですか。そちらも楽しみです。
TVドラマの『アンドロメダ』というのは、ジーン・ロッデンベリーの残したアイディアに基づいた、というやつですか。
あれって完結したんでしたっけ?ちょっと興味はあったのですが・・・(苦笑)。
で、この映画の題材自体は色褪せていないですよね。今起きてもおかしくない事態ですし。
普通に今日のテクノロジーでリメイクして欲しかったんですけれど、どうも色々と膨らまされていじられて、という状態みたいです。
でも気にはなるなぁ。