『新イタリア合奏団』
2008年 06月 01日
大宮、北上、京都、札幌、名古屋、仙台と廻ってきた新イタリア合奏団の最終公演は、ここ東京。生憎の天候にも関わらず、客席は殆ど埋まっていたようですな。度々来日して公演を行っているし、すっかり日本でも御馴染みということなんでしょう。

フルートの高木綾子、チェンバロの曽根麻矢子、そしてヴァイオリンの高嶋ちさ子の3人。実は仙台公演だけチェンバロは水永牧子で、ホントはそちらの方が良かったんだけれども(苦笑)、まぁ豪華で華やかな顔触れである。
結局のところ彼女たちは単なるゲスト演奏者ではなく、コンサートそのものを引っ張る役割も担わされておりました。まぁメインが外タレ(笑)だから仕方ありませんがな。
要所要所の司会進行は当然のように(?)高嶋ちさ子、その合間にも2人、もしくは3人のトークのコーナーが用意され、それでコンサート全体をまとめる、という寸法。そのうちどっちが主役なのかわからなくなっちゃったけどねー(笑)。
演奏した曲は、第一部がロッシーニの「セヴィリアの理髪師」、J.S.バッハの「チェンバロ協奏曲第4番」、ヴィヴァルディの「フルート協奏曲第2番 夜」、それに同じくヴィヴァルディの「ヴァイオリン協奏曲集『四季』」から「夏」。
曽根麻矢子は2曲目の「チェンバロ協奏曲」をメインで弾いた後は、ずっと伴奏者としての参加。「フルート協奏曲」では高木綾子が、「夏」では高嶋ちさ子がそれぞれ参加という形。
チェンバロは音色がとても好きな楽器で、「今回生で聴くの初めてだなぁ」なんて思っていたのだけれども、実は違うそうで。
曽根麻矢子自身がネタばらししていたが、マイクで音を拾ってスピーカーから流しているんだと。なんでも大きなホールや合奏の場合、チェンバロの音はかき消されちゃうんでしょうな。ま、残念だが仕方がない。
また「夏」の演奏前には、高嶋ちさ子が曲目解説。
鳥だとか虫だとかため息だとか嵐だとか、この曲には色々な情景等々を描写した部分があるのだけれども、それを一つ一つ取り出して「こんな感じ」と紹介してくれるのだ。うーん、実に初心者向けだし、場を盛り上げる術は心得ているなぁ。
ただ、これだけのビッグ・ネームの来日公演ともなれば、熱心で高尚で硬派なクラシック愛好家諸氏も決して少なくないはず。こういうのをやられると、バカにされたように感じたり、穢された、貶められた、などと騒ぎ立てる輩もいないとも限らん。難しいね。
第二部はパガニーニの「ヴェネツィアの謝肉祭」、そしてゲストの3人揃ってJ.S.バッハ「ブランデルブルク協奏曲第5番」を。
随分難解な曲だとは思うけれど、それをサラッと弾いてみせるのだから、やっぱりプロの仕事って凄い。
アンコールは、まずは「ガブリエルのオーボエ」。これ、ニーノ・ロータが作曲した映画『ミッション』の曲ですね、観たことないけど・・・。
次はメンバーだけでシュトラウスの「ピチカート・ポルカ」。演奏中にふざけて見せたりするのは、流石は陽気なイタリア人!
で、これでおしまいかと思いきや、最後にもう一曲だけ、これには3人も再び参加して映画『ライフ・イズ・ビューティフル』の曲を。これも観たことないなぁ・・・。
コンサートは一部が1時間以上で、二部がアンコール含めて40分足らずという変則的な構成だったけれど、3人の軽妙なトークや、合間におどけてみせるメンバーのテンションの高さもあり、大人しめの曲が多かった割には会場は熱気ムンムンという感じだった。
主役が誰なのか、本当に途中でわからなくなっちゃうような内容だったけれど、コンサートそのものには充分満足。日ごろ、オーケストラやソリストのコンサート、リサイタル等にはちょこちょこ行っている割に、合奏となるとあまり縁がないけれど、これを機に少しレーダーの範囲を広げようかな。