『スーパーマン4/最強の敵』(1987)
2008年 06月 24日

といってもクリストファー・リーブのスーパーマンは健在だし、前作ではお休みだったジーン・ハックマンのレックス・ルーサーも復活。
前作では影の薄かったマーゴット・キダー演じるロイス・レーンもメデタク正ヒロインの座に返り咲き、レギュラー・キャラクターもそのまんま。そして勿論ジョン・ウィリアムズの手になるテーマ曲は高らかに鳴り響き・・・という具合に、驚くほど製作体制の一新を感じさせない作りになっている。
しかしお話の方は・・・。
前作の出来には相当不満を持っていたらしいクリストファー・リーブは、今回は自らストーリーを立案。スーパーマンを国連総会に乗り込ませ、核兵器廃絶を堂々と宣言させるという暴挙、いや快挙に出た。
社会派テーマを内包した娯楽作品を狙っていたのだろうけれど、現実社会に直面させるとスーパーヒーローは途端に精彩を欠く。スーパーマンが全力で、大真面目に核兵器を処分すればするほど、実際には未だ核の脅威にさらされ続けている現実世界とのギャップが浮き彫りになってしまう。やはり「現実」を前にすると、スーパーヒーローは無力だ。
そして皮肉なことに、このスーパーマンの”善意”が、「最強の敵」ニュークリアマンを生み出してしまうのだから。
このニュークリアマン、レックス・ルーサーが悪知恵を働かせ、スーパーマンのDNAから作り出した物質を核ミサイルに搭載し、それをスーパーマンが太陽に放り込んで処分しようとしたことから誕生した超人なのだ。
いわばスーパーマンのクローンなのだが、その割りに演じたマーク・ピローはちっともリーブに似てないけど、それでいいのか?
ま、ニュークリアマンが登場してから、些か説教臭かった前半部分に比べ、一気にマンガに徹した展開になってゆく。
「スーパーマン抹殺」を標榜しながら、この考えナシの筋肉バカは単に力勝負を挑むだけ。世紀の一戦というよりもじゃれ合ってるだけとしか思えない緊迫感の無さが、かえって「スーパーマン」らしいのだけれども、これじゃよっぽどのファンじゃなければ退くな・・・。
リーブ自身はどの程度出来栄えに満足していたのか知らないけれど、一般の観客は満足とは程遠かったようで、更なる続編は凍結。自分もこの作品だけ映画館で観ておらず、ビデオでの鑑賞のみだ。
その後のリーブの運命に関してはご存知の通りで、「スーパーマン」そのものの復活にも20年近い歳月を要する羽目になってしまったが、改めて観直すとリーブというのは上手い役者さんだったのだなぁと実感。この作品でもスーパーマンとクラーク・ケントを見事に演じ分けていて、これならば二人が同一人物だと周囲が気付かないのも宜なるかな。もう一本くらい、リーブのスーパーマン、観たかったものである。
ところでこの作品、邦題は『4』となっているのは何故だろう? 前作、前々作はそれぞれ『II』、『III』という表記なのに。
配給会社が代わったからだろうか。

彼に任せておけば大丈夫!みたいな。
スーパーガールやバットマンとの共演作なんかも観てみたかった気がします。
きっと存在感では引けを取らなかっただろうから。
当時も「ああ、終わったなあ」って思ったもんです。ただし、『スーパーガール』は前売り買ってまで行きましたね。
たしかこのあとの作品ですよね?
今観たらちゃっちいですが、空中を舞うシーンがとにかく優雅で、演じたヘレン・スレイターが可愛くて可愛くて…
彼女が地球でスーパーマンのポスターを懐かしそうに見るシーンで、エクスカリバーさんが仰るような“夢の共演”を思い浮かべたファンも多かった筈なんですが。
私にとっても、C・リーブ氏が最後で最高のクラーク・ケントでした。
サルキンド父子は『スーパーマン』3作の後、『スーパーガール』、『サンタクロース』と<スーパーヒーローシリーズ>(?)を作り続けるのですが、『スーパーガール』と『サンタクロース』の興行的失敗から、『スーパーマン』の映画化権を手放す羽目になったと伝えられています。
まぁ、如何わしさではどっちもどっちですが・・・(苦笑)。
『スーパーガール』では、リーブの元にカメオ出演の打診はあったようですね。
でもシナリオが気に入らなかったかなんかで出演を蹴っちゃったようで。