人気ブログランキング | 話題のタグを見る

『超人ロック』(1984)

1981年春に『機動戦士ガンダム』を配給してヤング向けのアニメ映画市場に参入した松竹は、続けて『ガンダムII』『ガンダムIII』『イデオン』『クラッシャージョウ』『ザブングルグラフィティ』『ドキュメント・ダグラム』と、春夏シーズンに日本サンライズ(当時)製作作品を提供し続けてきたが、今度は日本アニメーションと浮気して(?)作ったのがこの作品。
日本アニメーションとしても、再編集作品を除けば初めての劇場用作品ということで、当時はまだ珍しかったCGも導入するなど気合充分。
ただどういう訳か、自社のTVシリーズを再編集した『未来少年コナン/特別篇~巨大機ギガントの復活!~』をオマケに付けた。
人気作だから保険のつもりだったのか、あるいは同時期に公開された『風の谷のナウシカ』に対抗しようとしたのかは定かではないけれど、なんとも中途半端な組み合わせだなぁとは思う。

『超人ロック』(1984)_e0033570_19195760.jpgさてこの『超人ロック』、今も続く聖悠紀のコミック・シリーズが原作である。
今さら説明する必要もないだろうけれど、「ロック」という、少年の姿のままで永遠に生きる超能力者を主人公にしたSFマンガで、最初は同人誌に掲載されていたものが何故か「月刊OUT」で特集されて注目されるようになり、その後は「ランデヴー」や「少年キング」など商業誌でも連載がスタートして知名度が上がったという不思議な作品。
かくいう僕もその存在を知ったのは、当時定期購読していた「OUT」の特集号。
また一時期「少年キング」を買っていたこともあって幾つかの作品を読んでいる。

で、このアニメ版は、原作の「魔女の世紀」と呼ばれるエピソードを下敷きにしたもの。
きちんと読んだことがないので良くわからないのだけれど、結構忠実に映画化しているらしい。
ロックの声は、これが主役デビュー作となる難波圭一、物語を実質的に引っ張っているヤマキ長官は安原義人、ヒロインとなるジェシカに潘恵子、コーネリアに藤田淑子、レディ・カーンに中西妙子、ラムセス教授に柴田秀勝、聖母ルウに信沢三恵子、というキャスト陣は好演しているし、絵も綺麗で完成度は全体的に高い。
ただ演出のせいなのか、それとも元々の物語のせいなのかはわからないけれど、卒なくまとまっているが故に、全体的には地味な映画になっちゃってはいる。
そのせいか、今回観直していても、あんまり印象に残っていたシーンがなかった…。


『超人ロック』(1984)_e0033570_21413440.jpgむしろ印象に残ってるのは、映画化までの大騒動の方だ。
アニメ化に向けてはコロムビア・レコード(当時)からイメージアルバムのLPが何枚か出たり、ニッポン放送がラジオドラマ化したりと着々と布石を打ったものの、当時の掲載誌「少年キング」誌上やニッポン放送のアニメ情報番組でファンの声を集めた結果、ファンからは反対の声が多く、一度は「アニメ化断念」という結論が出たのだ。
そして原作者自身も、このファンの声を尊重するコメントを出している。

アニメブームに嫌気がさしてきていたこともあって、当時の僕はこの結果には快哉をあげたものだが、いつの間にか原作者がコロっと宗旨替え。
結局アニメ化決定が報じられた時にはガッカリしたというか白けた気分になり、それが映画自体にもあんまり良い印象を残さなかったのかも知れない。
今じゃOVA作品も何本かリリースされているし。

ところでDVDにはサブタイトルが付け加えられ、『超人ロック/魔女の世紀』というタイトルになっていた。
道理でなかなか探しても見つからなかったワケだ(苦笑)。
Commented by ゆかりん at 2008-08-02 21:15 x
こんばんはーっ
超人ロックは今でも続いているんですか?すごい。
ロードレオンのお話好きでした。もう忘れかけてますけど。
アニメの方も見たような・・・懐かしいです。
Commented by よろづ屋TOM at 2008-08-03 01:06 x
ほええ。私もびっくりしました。続いてるんですか。よおやるなあ…
私もロック体験はOUTとランデブーですねえ。どっちもまだ置いてありますが、どーもよお解らん話という印象が…。
むしろ吾妻ひでお氏がパロディで登場させ、それを『ぱふ』で特集した回ではじめて全容を知ったような有様です。(コアな会話ですね〜。オタクみたいや)
とーとつですが、たしかランデブー別冊で聖悠紀氏を筆頭に、当時花ゆめなどで活躍していたプロ作家さんが集まって『ダリウスの風』なんてSFマンガも描いてましたよね?今考えたらすごい事やってたわけですが、あれ、ちゃんと終わったのかな。前半しかしらないんですよね…幻の作品になってるかもなあ
Commented by odin2099 at 2008-08-03 07:12
>ゆかりんさん

『ロードレオン』、OVAになってますね。
この時のロックの声は飛田展男で、ロードレオンは池田秀一だったかな。
観てるはずなんだけど、全然記憶に残ってない・・・(苦笑)。

そういやラジオでは古谷徹や松野太紀、それに神谷明なんかがロックを演じてましたけど、みんなイメージ違うなぁ・・・。
Commented by odin2099 at 2008-08-03 07:27
>TOMさん

聖悠紀というと『ペアペアライサンダー』と『黄金の戦士』が印象的です。
ま、単にその当時「アニメージュ」と「リュウ」を読んでいたってだけのことですが(笑)。

そういえば「OUT」で特集したマンガの中には、『スターシマック』というのもありましたね。
あちらは『ロック』ほど評判にならなかったですし、作者の関あきらはもう作品を発表してないらしいですけれど。
デザインがちょっと、後の岡崎つぐおの『ジャスティ』に似てるような・・・?
Commented by kei☆ at 2008-08-03 12:41 x
超人ロック、大好きでした~~!!途中までですが…。
少年キングに連載していたことしか知りませんが、単行本中心だったので、アニメ化に関してそんな経緯があったとは!一応、アニメも観たし、ラジオも期待いっぱいに聴きましたが…あまり印象に残ってないです。やっぱりロックはマンガの方がいいと思います。
ちなみに『超人ロック/魔女の世紀』は一番好きな話です!!
ところで『ジャスティ』、これも懐かしいです~!一時期ハマったものです。
Commented by odin2099 at 2008-08-03 19:12
>kei☆さん

アニメ化は、聖悠紀自身が「イメージが崩れる」といって拒否し、ファンもそれを支持したんですよ。
ニッポン放送のラジオ番組では、パーソナリティやアニメ・レポーター(いたんです、そういう人が)が一生懸命に原作者を説得しようとして果たせず、という状態だったので、なんでもかんでもアニメにすりゃ良いってもんでもないだろー! 
・・・と共感していたんですけど、そのうちしばらく経って原作者自身が、「CGを使えばイメージの崩れは防げる」とかなんとかそんな理屈を持ち出してOKしちゃったもんだから裏切られた気分でしたね。

『ジャスティ』はアニメ版を観たな、確か。
声が井上和彦さんだったので、なんだか009みたいだったけど・・・(苦笑)。
by odin2099 | 2008-08-02 19:22 |  映画感想<タ行> | Trackback | Comments(6)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


by Excalibur
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30