『ウィキッド』 グレゴリー・アグワイア
2008年 08月 31日
先に四季の舞台を観ているのですが、今回もう一度観に行くことになり、それではと原作に手を伸ばしたのですが・・・ビックリ!
お話、全然違うじゃありませんか?
共通しているのは、緑色の肌を持って生まれてしまった醜いエルファバと、美人でチヤホヤされているグリンダという正反対の二人が、ルームメートとなってシズ大学で共に学ぶうちに奇妙な友情に結ばれるということと、後にグリンダが”善い魔女”、エルファバが”西の悪い魔女”と呼ばれるようになること。
そして勿論、『オズの魔法使い』の裏話になっているということぐらいでしょうか。
原作でも舞台でもキーとなるフィエロは、180度とは言わないまでも120度くらいは別キャラクターになってますし、舞台版では影の薄いボックは小説では結構重要な役割を担っています。
オズの魔法使いにしたところで、舞台版はともかく原典とも別のキャラですし、舞台版と違って、脳みそのない案山子や心臓のないブリキの樵、そして臆病なライオンの出自は明らかにされません(ライオンに関しては匂わせる部分もありますし、案山子や樵には想像の余地は残されていないとも言えないのですが)。
うーん、これは・・・。
出てくるキャラクターが癖のある面々ばかりですし、思い込みや勘違いで物語が転がって行ったりで、読んでいてしばしばイライラとさせられました。
結局作者が何を言いたいのか、よくわからないまま結末を迎えてしまったという感じです。
逆に舞台版の脚色者は、この原作から良くあんな物語を紡ぎ出したなぁと感心しきり。単純化されていて深みはないものの、素直に感動出来る舞台版の方が自分は好きですね。
舞台を観て感激した方は、無理してまでこの原作を読む必要はないでしょう。