『メガゾーン23』(1985)
2008年 09月 19日
我々は皆、隔離された世界の中で巨大なコンピューターに管理、支配され、強制的に夢を見させられていたのだとしたら・・・・・・

当時の鑑賞メモから一部抜粋、引用してみた。
この作品、これを近未来SFと呼んでいいものだろうか。
舞台設定は現代、現代の東京である。
しかしその実態は、宇宙船内部に作られたコンピューターに支配されている人工の、見せ掛けの街。主人公である省吾はある日、このことを知るのである。またその「現代」が、既に20世紀から5世紀ほどを経た世界であることも。
軍は、コンピューター”バハムート”を制御しようとし、その為の手段としてマスコミを使った大衆洗脳や、邪魔な人間を始末さえする。
そのキー・ポイントとなるのが、人気アイドル歌手・時祭イブ。彼女は”バハムート”が創り出したCG(コンピュータ・グラフィックス)・・・。
全てを知り、また友人を失った省吾が、やり場のない感情に操られるが如く軍に戦いを挑み、敗北していく。
だが最後、省吾が立ち上がり、待っていてくれる最愛の人・由唯の許へ歩き出すところでドラマが幕を閉じる。
正直、恐ろしい映画だ。全てが作り事だと誰が否定出来よう。
普通の人が知らないところでは、何が起こっているかは誰も知らない――そんな恐怖感を起こさせてくれる。
また、人間は本質的に孤独なのだということも同時に描いている。気の会う仲間同士であったのが、ある者は殺され、ある者は全く別の道を歩いていく。だが最後、省吾と由唯が互いに触れあい、その感情を持続させていることに唯一の救いはあるのだが・・・。
『超時空要塞マクロス/愛、おぼえていますか』のスタッフが中心になって作り上げた作品、『マクロス』のリン・ミンメイとは違った形で描かれるアイドル・時祭イブ――つまるところ『マクロス』の延長線上の作品を期待していて、良い意味で大きく裏切られたのがこの作品だった。
勢いに任せて書いた文章なので、今読み返してみても意味不明な箇所が多いものの、多感な時期に多大な影響を受けたことは間違いなく、全体的な”気分”は再見した今も変わらない。
「今が一番良い時なんだと信じてる」という台詞の重みも、決して色褪せるものではない。
