『君の望む死に方』 石持浅海
2008年 10月 14日
幹部候補を対象にした保養所での研修メンバーに梶間を選び、数々の凶器を準備し、事が行われた後で梶間を殺人犯にしない為の仕掛けも用意し、後は梶間が思惑通りに動いてくれることのみを期待していたのだが、研修にゲストとして招いた一人の女性の存在が、その計画を狂わせていくのだった・・・。

他にも前作からスライドしているキャラクターがいるが、前作ではまだ可愛げがあった優佳が、本作ではかなり怖い女になっているのが意外でもあり、むしろ当然のようでもあり・・・。
どうやら三部作構想という声も伝わってきているが、これから彼女はどんな女性になっていくのだろうか。
シリーズ化の予定があったからなのか、前作では結末が曖昧にされている部分があったが、今回も同様の趣向。
著者の言葉に「事件が起きるまでを丁寧に描こうと思った」とあったが、その分結末は余韻がどうこういうレベルではなく尻切れトンボ。これでは読み終わった後にフラストレーションが溜まってしまう。
プロローグ部分に提示されているとはいえ、登場人物たちの「その後」については、また第三弾に持ち越しなのだろうか。
この作品も前作同様WOWOWでドラマ化されている。
あまり芳しい評を聞かないのだが、さてどのように映像化されているものやら。
今回の主役は松下奈緒に交代しているが、読んでいる時は何となく前作の主演・黒木メイサの顔がチラついていた。
あちらでの彼女はミスキャストだと思うが、こちらでは意外と合うかも知れない。
ちなみにドラマ版の『扉は閉ざされたまま』からだと、残念ながらこの作品に繋げるのは難しい。キャラクターの設定を多少なりとも変更しない限りは・・・。


JUGEMテーマ:読書★★★☆(3.5/5)あらすじ 膵臓ガンで余命6ヶ月―。“生きているうちにしか出来ないことは何か”死を告知されたソル電機の創業社長日向貞則は社員の梶間晴征に、自分を殺させる最期を選んだ。彼には自分を殺す動機がある。殺人を遂行させた後、殺人犯とさせない形で―。幹部候補を対象にした、保養所での“お見合い研修”に梶間以下、4人の若手社員を招集。日向の思惑通り、舞台と仕掛けは調った。あとは、梶間が動いてくれるのを待つだけだった。だが、ゲストとして招いた一人の女性の出現が、「計画」に微妙...... more