『君の望む死に方』(2008)
2008年 10月 16日
主人公の優佳役は前作の黒木メイサに代わって松下奈緒。他の出演者は窪塚俊介、大杉蓮、奥貫薫、夏八木勲ら。
脚本・後藤法子、監督は香月秀之。
いやぁ~、これは凄いドラマになってました。
余命半年と宣告された会社の創業社長が、研修の名目でとある社員を呼び出しますが実は彼、かつて社長が殺した(死なせた)友人の息子。どうせ死ぬのならば、彼に復讐を遂げさせようというワケ。
そこで殺しやすい環境を整え、しかも彼を殺人犯にしないようにとお膳立てをするものの、そこに優佳が現れたために歯車が狂い・・・という粗筋だけ見れば原作通りなのだけれども、ところがドッコイ。
原作では研修には4人だけ呼ばれるところが数十人規模に膨れ上がったのはいいとしても、第三者的立場にいるはずの優佳は社長秘書というポジションで能動的に関わるし、犯行予告の脅迫状は送られてくるし、途中で双方とも心情を吐露してしまうのでサスペンスも何もあったものではありません。
挙句の果てには、原作にも登場しているある人物の設定をかなり大胆に改変し、物語をドンドン違う方へと引っ張って行ってしまいます。
これはある意味サスペンスですねー。原作読んでいるのに着地点がサッパリ見えないのですから。
詳しくはネタバレになるので書きませんが、これはミステリー物の映像化の際の禁じ手(?)「犯人変え」に近いものがありますな。
ラストシーンも当然のように全く違うものになってますが、これは原作者の承諾を受けてるんでしょうかね。
そもそもこのドラマ、前作のラストシーンを受けて始まります(ヒロイン演じている人が違いますけど・・・)。
このラストシーン、原作にはない付け足しで、これがあるとこの作品における優佳の立脚点が全くといっていいほど成立しなくなっちゃうのですが、それをやっちゃった以上、純粋なというか忠実な映像化は放棄したってことになるのですが、それにしてもここまで変えられちゃうと心穏やかではいられませんなぁ。
夏八木勲の日向社長はなかなか良かったし(といっても別人に近いキャラ設定ですケド)、大杉蓮の小峰さんも悪くないですが、後はねぇ・・・。
松下奈緒はパス。
優佳のキャラが原作とは全く別物なので、このドラマ版だけでどーこー言えないしなぁ。
ま、前作共々小説版が好きな人はドラマ版は観ない方が無難だよ、くらいのことしか言えません。
内容ソル電機に勤務する碓氷優佳(松下奈緒)優佳は、日向貞則社長(夏八木勲)の秘書をやっていた。そんななか、若手の有能な社員を集めた研修会が開かれる。様々な意見を聞く日向社長。だが、その1人に妙に攻撃的な人物がいた。それは、梶間晴征(窪塚俊介)。。数ヶ月...... more