『ジェネラル・ルージュの凱旋』 海堂尊
2008年 10月 19日
しかし出版社が違うことや、白鳥は出てくるが田口は出て来ないらしいのと、何よりも時系列的にはどうやら「後」になるようなので、こちらを先に選んだ次第。
田口の許に、”血まみれ将軍(ジェネラル・ルージュ)”と異名をとる救急救命センターの速水部長が、特定業者と癒着しているという匿名の告発文書が届いた。高階病院長の依頼によって田口は調査に乗り出すことになるものの、倫理問題委員会(エシックス・コミティ)の介入もあり、事態は思わぬ方向へ。
ということでまたも貧乏くじを引いた田口センセが悪戦苦闘しているところへ、ロジカル・モンスター白鳥がやってきてかき回す、という趣向。
凄いのはこれが、前作『ナイチンゲールの沈黙』と同時並行の物語ということだろう。
あの作品では浜田小夜と如月翔子という二人の看護士が登場するものの、メイン・ヒロインとなるのは小夜だったが、こちらの作品では逆に翔子が重要なキャラクターとなる。
同じ病院内とはいえ、各所で様々なドラマが繰り広げられているのは現実世界では当たり前だが、二つの小説が相互補完しあうというのはなかなか珍しいのではないだろうか。
しかしあちらであんな大事件が起こっている時に、こちらではこんな事態が巻き起こっている。双方に付き合わされた田口センセは誠にお気の毒なことだ。
物語としては、内部告発の内容は事実か、だとすれば告発者は一体誰なのか、が一応メインのポイントとして進むのだが、実際に強調されているのは医療現場の実態に対する警鐘、というよりも悲鳴だ。決して褒められた行為ではないが、さりとて全面的に否定も出来ない矛盾を孕んだ問題でもある。
そしてその内容も、医療ミステリーというよりは法廷サスペンス物に近い。
物語上の敵役がややステレオタイプなのは気にかかるものの、かえって裁かれる側に感情移入しやすく、面白く読み終えることが出来た。前作の、ややファンタジー寄りの展開には釈然としないものを感じたが、こちらは畳み掛ける展開に一気読みしてしまった。
そういえば今月から『チーム・バチスタの栄光』が、映画化に続いて今度はTVドラマ化されたので一話を観てみたのだが、映画版で女性に変えられてしまった田口センセは、今度は落ちこぼれ気味の若造に。
原作にはないレギュラー・キャラクター(なんだろうなー、あれは)を付け加えたり、キャラクターを変えたりしているようだが、どうして皆して弄繰り回すかなぁ。連ドラだから一話から白鳥を出すのは仕方ないにしても、原作そのまんまで充分面白いのに。
まぁ原作や映画版とは犯人を変えるかも?という話なので、それだけを楽しみに見るとするかな。
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TB&コメントありがとうございました♪
コチラは面白い作品でしたよね~ナイチンゲールでガックリきましたが、盛り返してくれて良かったです(笑)
でも、ナイチンゲールを悪くばかりも言っていられないのは、これが「『ナイチンゲールの沈黙』と同時並行の物語」だからなんですよね~珍しいですし、よく考えられていたと思いました。
それに、、、速水先生がカッコ良かった!!(笑)
ドラマは見ていません~
映画でドロドロに撃沈したし、ドラマの田口先生にもガックリきそうで、、、原作通りで面白いのに、、、ですよねぇ~
次回は『螺鈿迷宮』でいいと思います。
私は好きな作品でしたが、イマイチ世間の評判が良くないかも(汗)
その後の『ブラックぺアン~』は番外編という感じで面白いですよ!!
レクチャー、有難うございました!
しっかりと『螺鈿迷宮』、スタンバイしております。
・・・といっても読むのはもうちょっと後かなぁ(苦笑)。
『ナイチンゲール~』は歌の関わり方がピンとこないんですよねー。それに”あの二人”の行く末を考えれば、かなり暗くて重いラストだし。
映画のパート2なんて話もありましたけど、あの作品じゃちょっと無理でしょうね。
その点、この作品なら派手な見せ場もあるし映像化向きかなぁとは思いますが、後はキャスティングとシナリオ次第だなぁ。
最初、『螺鈿迷宮』の方を読もうかな~と思いましたが、こちらで正解でした!!
次はこちらを読むつもりです。
田口&白鳥コンビの新刊も出ましたね。私はまだ先になりそうです(^^;
やぱり刊行順に読もうかなぁ。