『プロ野球の一流たち』 二宮清純
2008年 10月 20日
元々は雑誌に連載されていたものをまとめたそうなので、各テーマの分量が少なかったり、話があっちこっち行っちゃってる部分もないではないけれども、インタビュー記事が多く、「一流」が語る「一流」、「プロ」が語る「プロ」というものの面白さを堪能させてくれます。
勿論、野村克也が語る「配給学」といった、自分の経験に裏打ちされたことを本人が語る部分も面白いのですが、例えば清原について語っているのは入団当時のコーチだった土井正博。松坂について語るのも、当時の監督東尾修といった具合。「一流」が他の「一流」をどう見ているか、これもファンならば唸らされるのではないでしょうか。
本書の構成は以下の通り。
後半は題名にやや偽りありという感じで、現在の野球界に対する警鐘めいたものが中心になりますが、それもまた興味深い内容です。
第1章 監督の極意、投打の奥義
野村克也の「配球学」/中西太「育てる打撃論」
稲尾和久に捧ぐ――中西太インタビュー
大野豊のピッチング論
第2章 名選手たちの技術と陥穽
松坂大輔論――東尾修インタビュー/清原和博は強打者か
土井正博「名伯楽のインコース論」
新井貴浩は「アニキ」を越えられるか
渡辺俊介、サブマリンの極意
山﨑武司のホームラン人生
工藤公康「バッテリーとは何か」
古田敦也「日本野球のために」
第3章 日米の野球格差を問う
松坂大輔ポスティング移籍を考える
野球超大国アメリカの品格/バリー・ボンズと薬物問題
日米野球格差の本質――団野村の警告
第4章 日本野球を脱構築せよ
裏金問題と日本球界の体質
特待生問題と高野連/独立リーグという可能性