『銀河英雄伝説外伝』2 田中芳樹
2008年 11月 13日
なんで「外伝」の、しかも「2巻」なのかというと、これが読みやすくて一番面白いから!
この本だけかなりの回数繰り返し繰り返し読み返している。本編は結構重たいし、長いしねー。

その後、自由惑星同盟軍は「アムリッツア会戦」で大敗を喫してしまうのだが、その中にあって唯一功績を挙げたのはヤンのみ。
で、ヤンは一気にイゼルローン要塞司令官・イゼルローン駐留機動艦隊司令官・同盟軍最高幕僚会議議員を兼任させられ、イゼルローン要塞へと赴任するところから始まり、首都に政変が起こりヤン艦隊が出撃するまでの約4ヵ月半を、ヤンの従卒となったユリアン・ミンツの日記という形で描いたもの。
丁度本編では第1巻の第十章「新たなる序章」から、第2巻第三章「ヤン艦隊出動」までにあたる部分で、あちらが第三者視点で書かれているのに対し、こちらは徹頭徹尾ユリアン視点。
ユリアンが見たヤン、ユリアンの目を通したダスティ・アッテンボローやアレックス・キャゼルヌ、ワルター・フォン・シェーンコップ、オリビエ・ポプラン、イワン・コーネフ、フレデリカ・グリーンヒルらヤン艦隊のメンバーの姿が描かれ、なおかつ本編ではあまり出て来ない彼らの日常生活も描写されるという、なんかファンの手による二次創作物のような内容。
でも、それが良いんだなぁ。
ちなみに本編10巻、外伝4巻、プラス短編が数編という『銀英伝』は全てといって良いほどアニメ化されているが、唯一この作品だけは手付かず(もっとも幾つかのシチュエーションは本編に組み込まれている)。
まぁ、まとまりのない作品なだけに難しいだろうけれど、今なら短編にしてファン向けにネット配信する、なんて方法も取れそうだけれども。
元々原作小説に根強いファンが多いですが、アニメ版では基本的にクラシック音楽がBGMとして使われているのでクラシック・ファンが付いたり、かなりの量の登場人物に対して、原則「一人一役」なのでかなり豪華なキャスティングが実現してるので声優ファンも沢山付いてます。
なんせ「銀河声優伝説」と呼ばれてるくらいだし(苦笑)。
まぁアニメそのものの出来は、特筆すべきものではないと思いますが・・・。
『タイタニア』とは無関係です。
最近の中堅・若手の作家には珍しく、作品同士をリンクさせることには興味がないみたいですね、田中センセは。
プロフィールを拝見したので『銀英伝」ファンなのは存じておりましたが、原作は未読でしたかぁ。
それは勿体無い(笑)。是非お読み下さい。
ちなみに外伝の2巻、今はちょっと入手しにくいかも知れません。
トクマノベルズと徳間デュアル文庫だけなので、あんまり置いてるところないし。
ただ、もうすぐ創元SF文庫から出るはずなので、それまでお待ち下さい♪
確かに、重い(苦笑)本編に対しての「清涼剤」のような?!作品で、私も好きです。本編あっての外伝ですが、彼らの楽しい日常が垣間見られたようで、面白いです。
ほんと、ネットで配信してほしいですね。この作品はあのまま終わらせておくにはもったいない大作ですから・・・
途中で「ドールトン事件」が起こったり、最後が首都でのクーデター発覚で終るなど、やはり戦時中の物語であることに変わりはないのですが、それでも全体的に長閑な感じですよね。
ヤン艦隊の幕僚たちの、日常的な顔が見られるのも貴重。
これ単独でのアニメ化は難しいでしょうが、今なら当時より色々な媒体があるので、実現したら楽しいでしょうね。