『緯度0大作戦』(1969)
2008年 11月 15日
彼らは偶然に火山の調査に来ていた謎の潜水艦アルファ号に救助され、緯度0にあるという彼らの秘密基地へと招待される。
マッケンジー艦長の説明によれば、そこはどこの国にも属さず、純粋に科学を平和利用しようとしている楽園で、地上で消息を絶ったり死亡したと伝えられていた高名な科学者たちも、ここで夢の実現に勤しんでいたのである。
しかし彼らの研究成果を盗み出し、覇を称えんとするマリク博士は、虎視眈々とその機会を狙い続けてきていた。
今また、緯度0へと迎えようとした高名な科学者岡田博士父娘を拉致したマリクは、マッケンジーたちを罠へと誘き寄せようとしていた・・・!

東宝特撮映画の系譜としては『海底軍艦』に連なるもの。
といっても作品の趣はかなり違い、戦記モノの延長線にあるようなあちらに比べると、こちらはもっと純粋なSFというか、ファンタジーっぽい作り。ラストシーンも、ちょっと捻ったムードがあって良い感じ。
とはいっても映画そのものは単調で、演出は淡々としてるし、音楽もメリハリがなく退屈。世界の危機を救うという緊迫感もないし、敵の基地に攻撃をかけるといってもワクワク感もなし。
アルファ号も、宣伝では万能メカ、スーパーウェポンのような紹介のされ方だが、クライマックスでは改造されて空を飛ぶようになるとはいえ、ほとんど非武装という、”男の子の夢の結晶”としては随分と物足りない。
権利関係のゴタゴタがあって、近年までは日本でビデオ等がリリースされなかった関係で”幻の名作”扱いされてる頃に今は亡き大井武蔵野館で観た記憶があるが(同時上映は『獣人雪男』!)、そこで睡魔に襲われたのを覚えている。
それでもDVDのコレクターズBOXなんぞを購入しちゃったので引っ張り出してきたものの、やっぱり眠くなっちゃった。
まぁ円谷特撮を信奉している人以外は、無理してまで観る必要はないだろう。
ただ、監督:本多猪四郎、特技監督:円谷英二、音楽:伊福部昭のトリオが揃ったのはこれが最後。そしてこの作品の直後に公開された『日本海大海戦』が円谷監督の遺作になってしまった。
3人でした。うち2人は私と兄です。(笑)
黒鮫号がちょっと格好良いんですよね。
おお、それは凄い経験ですねぇ。
自分は多分、客席数が1000以上ある劇場で、確か10人前後というのが記録だったかな(笑)。
アルファ号も黒鮫号も格好良いんですが、如何せん活躍しないのが勿体無い。
ちょっとヴェルヌとか、そういう感じの物語仕立てになってる点は気に入ってるんですが。
黒鮫号とともに食玩の『東宝スーパーメカクロニクル』だったかのラインナップにあって、カッコイイし名前も知ってるのに姿を見たのはそれが初めてだったんで結局入手せずじまいで。
(不人気のせいか日本橋のジャンク屋で安かったけど、それでも知らないというのはさすがに購買意欲をくじきますねえ)
でも俳優陣をみると、そうとうカネかかってそうですね。
ギャラの不払いなどの問題もあって製作が頓挫しかけたものの、東宝が肩代わりすることで続行。
しかし、それに見合った興行成績は挙げられなかった、という不遇の作品です。
それ以後、東宝では合作映画はご法度になったとか・・・?
まだ見比べていないので詳しくはわかりませんけれど、アメリカ公開版が所謂全長版で、日本公開版は短縮再編集版という位置付けらしいですが、全長版を観れば面白いのかなぁ。