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『悪魔が来りて笛を吹く』(1979)

宝石商殺害事件の容疑者となった椿・元子爵は、嫌疑が晴れた後に謎の遺書を残して自殺した。
そこには「これ以上の屈辱に耐えられない」旨が記され、しかも「悪魔が来りて笛を吹く」と認められていた。
ところがその後、未亡人の秌子を含めた数名が、死んだはずの元子爵を目撃。
果たして元子爵は生きているのか。
それを確かめるための占いが行われる場に、娘の美禰子の依頼を受け、等々力警部は金田一耕助に立ち会うように要請する。
その占いで浮かび上がった紋章に慄く一同。
そして占いの終った夜、怪しげなフルートの音色が響き、秌子の父である玉虫・元伯爵が何者かに殺害されるという事件が発生した――。

『悪魔が来りて笛を吹く』(1979)_e0033570_7395962.jpg私はこの恐ろしい小説だけは、映画にしたくなかった」という横溝正史のコメントを使ったコピー、それとキービジュアルとなった”フルートを持った悪魔”像のインパクト。
当時映画館に貼ってあったこのポスター、怖かったなぁ。

この映画、製作が角川春樹なので、”角川映画”としてみるなら『犬神家の一族』に続く<金田一モノ>ということになる。
ところが『犬神家』の正当な(?)続編は、同じ石坂浩二の主演、市川崑の監督で(角川春樹事務所抜きで)シリーズ化され東宝のドル箱となっているので、こちらは一応シリーズ外作品ということに。
スタッフ、キャストは全く別で、監督は斉藤光正、主役の金田一耕助役には西田敏行を迎え、配給会社も東映に。

お話の方は、宣伝で強調しているほどホラーの要素はない。
例によって複雑な人間関係が絡み合い、それが事件の要因になっているのだけれども、映画では未整理というか、消化不良のまま。
金田一が推理する過程でも台詞だけ、名前を列挙するだけ、では観ている側は混乱してしまう。
全て親切に伏線を張り、懇切丁寧に説明しろとは言わないけれど、せっかくの映画なんだからビジュアルで表現する工夫も欲しい。
とりあえず犯人の動機はわかったけれど、結局は悪魔云々の件は良くわからなかった。
今回観るのは二度目なんだけれども…。

山本邦山のテーマ曲も印象的で、演出のテンポも決して悪くはない。
最初のうちこそ「イメージ遠いなぁ」と感じる西田=金田一も、観ているうちに気にならなくなってくる。
ということで、なんだか勿体無い映画だ。きっと原作はもっと面白いのだろうなぁ。
Tracked from カフェビショップ at 2008-11-20 21:44
タイトル : 悪魔が来りて笛を吹く
悪魔が来りて笛を吹く ノーノーノー。 西田敏行が金田一耕助をやった映画を見ました。 こりゃあ、うすっぺらい。 なにもかもが。 一番気になるのが洋館のぺらぺら具合。 ベニヤ板まるだしで、壁もドアも床も薄い薄い。 子爵だか男爵だかの末裔が住んでいた大邸宅に..... more
by odin2099 | 2008-11-18 07:40 |  映画感想<ア行> | Trackback(1) | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


by Excalibur
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