『ゲゾラ・ガニメ・カメーバ 決戦!南海の大怪獣』(1970)
2008年 11月 19日

ゴジラやラドン、モスラといったスター怪獣ではなく、新怪獣を登場させた意欲は大いに買うところ。
しかし、南海の孤島に限定した舞台設定、宇宙生物が寄生してるとはいえ、イカとカニとカメの怪物が出てくるだけというのは、どうにも華やかさに欠けるというか、こじんまりとした印象しか残らない。
ちなみにゲゾラ、ガニメ、カメーバの三大怪獣が揃うシーンはなく、最後のほうでガニメとカメーバが激突するのみ。
出演者には久保明、土屋嘉男、佐原健二、堺左千夫、藤木悠といった御馴染みさんを並べてはいるものの、そのキャラクターはかなりパターン化されていて新鮮味に乏しいし、脚本も演出にも特筆すべき点はなし。
黄金期に比べると、予算の締め付けは厳しかったのだろうなぁ。
しかしながら、それを活かすだけの人材、予算、日数が掛けられなかったということなのだろう。
怪獣ブームが沈静化していた時期だということ、そして映画産業自体が斜陽化していたということでは、不幸な作品だったとも言える。
お馴染みの出演陣に、監督の本多猪四郎、特殊技術の有川貞昌、音楽の伊福部昭といった重鎮スタッフが顔を揃えるのもこれが最後。
ということでこの作品、昭和29年の『ゴジラ』に始まる一連の怪獣映画の、事実上の最終作といって良いだろう。