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『ゲゾラ・ガニメ・カメーバ 決戦!南海の大怪獣』(1970)

『ゲゾラ・ガニメ・カメーバ 決戦!南海の大怪獣』(1970)_e0033570_21181597.jpg”特撮の神様”円谷英二亡き後、残されたスタッフが作り上げた<チャンピオンまつり>用の年一回の新作映画。
ゴジラやラドン、モスラといったスター怪獣ではなく、新怪獣を登場させた意欲は大いに買うところ。

しかし、南海の孤島に限定した舞台設定、宇宙生物が寄生してるとはいえ、イカとカニとカメの怪物が出てくるだけというのは、どうにも華やかさに欠けるというか、こじんまりとした印象しか残らない。
ちなみにゲゾラ、ガニメ、カメーバの三大怪獣が揃うシーンはなく、最後のほうでガニメとカメーバが激突するのみ。

出演者には久保明、土屋嘉男、佐原健二、堺左千夫、藤木悠といった御馴染みさんを並べてはいるものの、そのキャラクターはかなりパターン化されていて新鮮味に乏しいし、脚本も演出にも特筆すべき点はなし。
黄金期に比べると、予算の締め付けは厳しかったのだろうなぁ。

…と以前観た時は思ったのだけれども、改めて観るとストーリーやアイディアは悪くない。
予算が少ないなりに、色々と考えてプロットを作ったのだろうなということは察せられた。
怪獣のデザインという点ではあまり見るべきものがない三大怪獣も、着ぐるみの造型に当たっては工夫もこらされているようだ。
しかしながら、それを活かすだけの人材、予算、日数が掛けられなかったということなのだろう。
怪獣ブームが沈静化していた時期だということ、そして映画産業自体が斜陽化していたということでは、不幸な作品だったとも言える。

お馴染みの出演陣に、監督の本多猪四郎、特殊技術の有川貞昌、音楽の伊福部昭といった重鎮スタッフが顔を揃えるのもこれが最後。
ということでこの作品、昭和29年の『ゴジラ』に始まる一連の怪獣映画の、事実上の最終作といって良いだろう。
by odin2099 | 2008-11-19 21:20 |  映画感想<カ行> | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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