『星へ行く船』 新井素子
2008年 11月 22日
といっても手当たり次第というわけではなく、切っ掛けというのは若桜木虔が書いた『さらば宇宙戦艦ヤマト』のノベライズ本。以後コバルト文庫では他の作家の手になるものも含めて、次々とアニメのノベライズを出版していたので、それを律儀に(?)追っかけていたのです。
本屋に行くとコバルト文庫の並んでる棚を必ずチェックする日が続き、そんなある日にふと目に留まった本の書名が『星へ行く船』。
はーん、「星へ行く船」? 随分とロマンチックな、夢のあるタイトルだなぁと思ったのが最初。副題にも「ロマンチックSF」、なんて付いてるし。
で、それから本屋で見かける度に気になって、しかもあとがき読むとこの作者って学生じゃん! え?高校生でデビュー?
しかも作品のヒントは映画の『銀河鉄道999』を観たこと?!
これは絶対自分のテリトリーの作品に違いない。しかも作者は同世代、ではないけれどお仲間だし(ちょっとお姉さんですね)。
というわけで、これが”新井素子”初体験となりました。
人類が、他の惑星に移民を始めている未来世界。ふとしたことから家出してきた19歳の女の子・森村あゆみが、乗り合わせた宇宙船の中でトラブルに巻き込まれるというお話で、舞台設定はSFでも、お話そのものはミステリー物といった方が良いでしょう。
「ロマンチックSF」という副題から期待した内容とは随分と違いましたけれど、登場人物たちの個性もハッキリしていて、読んでいてすぐに馴染んでしまいました。
しかも一番インパクトがあったのが、文章が一人称で書かれていること!
等身大の女の子のキャラクターが、等身大の女の子の言葉で綴られている、そのことにビックリもし、感動もしました。はぁー、こういうのが新しいタイプの書き手っていうのかな、なんてナマイキなことを思ったりもしたものです。
文体自体が親しみやすく、年齢的にもまぁまぁ近いという親近感から、その後2~3年は”新井素子”作品を色々探し出して読んでました。気に入ると、全部揃えなきゃ気が済まない、という自分の悪い癖は、既にこの頃から表出しております。
ただ、どれもこれも基本は一人称で、主人公も作者と同世代の女性ということから、お話そのものがワンパターンだとは思わなかったですが、文章には飽きがきてしまい、段々と遠ざかってしまいましたね。多分、最後に読んだのは『・・・・・絶句』の頃でしたか。
そんなものを今さらのように引っ張り出してきたのは、うーん、どうも最近、懐古趣味(?)に取り憑かれているのか、やたらと昔観た映画や、昔読んだ本を読み返したくなってきてるからなんですよね。いかん、頭がボケてきたのか、それとも単に歳食っただけなのかわかりませんが、まぁあんまり善いことでもなさそう。人生の終わりに差し掛かったら、若かりし頃を振り返るのもいいでしょうが、まだまだ「これまで」より「これから」の時間が長いと信じたいもので(苦笑)。
でもねぇ、これが面白いのですよ。
当時は確かに「飽きた」はずなんですけど、記憶も薄れてきたせいか、とても新鮮に感じられます。今の若い人がこの本を読んで面白いと感じるかどうかはわかりませんが、大げさに表現すると時代を超越する魅力があるというんでしょうか。作品は今でも立派に生きていると断言出来そうです。
ちょっと宿題多すぎるので、これからまた”新井素子”を追いかけるかどうかはわかりませんけれど、ノスタルジーに浸るのではなく、現役の作家として見直したいな、とは思いました。
有川浩先生も胸キュンしたという、新井素子さんの名作SF「星へ行く船」。数十年ぶりに読み返してみました。 宇宙開発時代の世界観もきちんと描かれているし、 ストーリーも謎解きも面白い。 「昔はすこし苦手で距離をおいていた友人に 久しぶりに再会すると、あら、すごく楽しいわ。」 といった感じ。 当時はまだ中学生くらいが気軽に読める小説自体が少なく、 SF小説は星新一のショートショートか、翻訳ものの難解なものばかり。 そんななかで新井素子さんの小説が唯一、等身大のキャラクターで 描かれ...... more
 あたし森村あゆみ、19歳。現在進行形で家出のまっ最中。家を捨てるついでに、地球まで捨てるでっかい覚悟で乗り込んだ宇宙船で、あたしはさんざんな目に! いったい、家出はどうなるの!?「星へ行く船」シリーズの第一作目。 時代設定があるのかな、既に火星に人類が住んでいて、他の星にもいけるようになっていて、スリーナインでもヤマトでもガンダムでもない、女子向けSF、宇宙への旅となってます。ドキドキでの宇宙船への乗船、しかしその時から既に厄介なことに巻き込まれてしまった主人公。...... more
他にもいろいろ読みましたが、世界観と言うかなにかが独特でとても惹かれました。ロマンチックで少女ものっぽくありながら、臓器移植用の…だの、クローンだの、“食べる”だの…。
最後に読んだのは「今はもういないあたしへ」です。でもその間の「結婚」ものは全く読んでないです。SFもの、不思議ものが好きでした。
このシリーズはちゃんと最後まで読んだはずです(笑)。あ、後で追加された外伝(?)の方は読んでないですけど。
他の作品だと初期の短編集とか、『グリーン・レクイエム』、『ブラック・キャット』の最初の方、それと・・・何を読んだかなぁ。
『扉を開けて』だとか、そのあたりからはもう読んでませんね。
現在では入手困難になってしまった本も多いので、当時買わなかったことをちょっぴり後悔してます。
機会があれば、また手を出してしまうかも。
それとも吾妻ひでお特集だったかな。それこそ彼女と同学年なんですよ。で、17歳でSF作家デビューというのが羨ましくて、またタイトルが自分好みで。
ブラッドベリやクラークあたりのファンにとって『星』『船』なんて殺し文句ですからね。
私も当初あの文体が好きで。あとがきでしたか、太一郎さんが広川太一郎さんの声のイメージってのもたまらんもんがありましたし。
私もエクスカリバーさんと同じのを読み、同じのを読んでませんねえ。
思うんですが、先日の高千穂遙ネタといい、今ちょうどスペオペがハレー彗星のように回帰してくるタイミングなのかも知れませんよ。
今のジュニアたちの知ってる実写系SFはハードかパニックかサイバーばっかしでしょう?アニメはファンタジーとごっちゃですから新鮮かも。
まあ『フラッシュ・ゴードン』や『バック・ロジャーズ』は要らんけど、素子嬢はまだアニメ化とかされてなかったと思うし。
竹宮恵子『私を月へ連れてって』なんて大好きなんですけどねえ。萩尾望都『11人いる!』もオリジナルリメイクとかならんかなー
未見ですが、新井素子作品では『扉を開けて』がアニメ化されてます、竹宮恵子のバックアップを受けて。
萩尾望都の『11人いる!』との二本立てでした。
今だとかえって新鮮かも知れませんねぇ。
このシリーズをまとめて、TVアニメにしたら面白いかも知れません。
最初の『星へ行く船』だけなら30分×4話ぐらいでまとまるでしょうから、あとは続編をそのまま続けて、全26話で如何でしょう?
ところで太一郎さんですが、読んでいても広川太一郎のイメージは浮かばなかったんですよね(苦笑)。
まぁ原作者が当て書きしてるのだから、そのイメージで読まないといけないんでしょうけれども。
むしろCD(あれ?LPかな)版にあったとかいう山寺のコーちゃんの方がしっくりくるかなあ。
26話!うーむ、イマドキはやはり全部ひっくるめてもワンクールOVAですかねえ。
そうですか、夏への扉…じゃなかった、扉を開けてはあるんですか。
『11人いる!』は今の『キャシャーンsins』なみに新作アレンジしたものなら観てみたいんですけどね〜〜〜ご覧になってます?絵はアクが強いけど、意欲作ですよ。
広川さんの声だと、年齢が上過ぎる気がします。
ラジオドラマでは何度か広川さんが演じてるようですが、実際はどうだったんだろうなぁ。もう音源、残ってないだろうし。
あと、カセット文庫だかで演じていたのは、山ちゃんじゃなくて古川登志夫だったみたいです(山ちゃんは別の役)。
これまたちょっと想像が付かない・・・。
結局、誰がいいのやら。
キャシャーンSinsは、今は視聴出来る環境にありません。
それに、ちょっと見るのが怖い気も(苦笑)。
いらっしゃいませ。有難うございました。
気恥ずかしくなってしまう、という感覚、わかるような気がします。
といってもこれは女性の方がより共感出来るんでしょうけれども。
相手に呼び掛ける時の「お宅」という表現、実は自分も普通に使ってました、当時は(笑)。
その後、いわゆる「ヲタク」が一般名詞化してからは意識して使わなくなりましたけど。
元々は相手に対して「お宅」と呼びかける人がこういったジャンルのファンやマニアに多かったから、それで「ヲタク」と言われるようになった、という説を当時聞いたことがあります。
しかし有川さんが「星へ行く船」のファンだったとは知りませんでした・・・。
『絶句』や『星へ行く船シリーズ』などの、テンポのいいストーリーから入ったわたしは、『ひとめあなたに』『あなたにここにいて欲しい』などを読んだ時は、また別の衝撃を受けましたね…人間観とか人生観とか考えさせられて。
少なくとも、わたしの人生や考え方に少なからず影響をもたらしてくれた作家さんでした。
…なんだかとっても読みたくなってきた。今度の休みに、実家探してみよ。
この記事書いて以降、押入れをひっくり返したりして手元に何冊か用意してはみたものの、まだ新井素子に手を出せないでいます。
このシリーズの続巻もそうですが、『いつか猫になる日まで』や『グレーン・レクイエム』あたりを読みなおそうと思っていたのですがね。