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『王子二人』<アルスラーン戦記>2 田中芳樹

読み始めると続けて読みたくなります。
『王子二人』<アルスラーン戦記>2 田中芳樹_e0033570_22584337.jpgアルスラーンという主人公はイマイチ没個性というか、”善い子”として描かれているものの、どうにもとらえどころがないところが不満ではありますが、代わりに彼を取り巻く人物たちは皆個性的。なかでもダリューンとナルサスのコンビは、お気に入りです。
ヤン・ウェンリーも大好きなんですが、最初に読んだ作品ということもあって、田中芳樹キャラの中では一番好きですね、多分。

前巻で国を失った王太子アルスラーン。今回も彼の苦闘は続くのですが、一人また一人と彼の周りには有為の人物が集まってきます。これは人徳なんでしょうかね。
片や対抗馬の銀仮面卿ヒルメスの下には、なかなか人材が集まりません。
彼の主張を信じるならば、ヒルメスは王位を奪われた亡国の王子であり、その復讐と正当な王位の要求が目的ということで、本来ならば主人公側にありがちな設定な訳ですが、世の中はそう思い通りには行かないということでしょうか。

ルシタニアに占領されたパルスには隣国シンドゥラの手も伸び、蛇王を復活させようという勢力もあり、ルシタニア内部には王と王弟、あるいは大司教との対立があり、パルスにも正統の王位を巡る争いが起きつつあり、シンドゥラにしたところで王位争いが起きているという正に乱世にあって、はたしてアルスラーンが如何に名君となっていくのか(ならないのか)、なかなか先々の展開に期待を持たせる状態です。
Commented by よろづ屋TOM at 2008-11-30 13:30
“読み始めると続けて…”なのに、ずっと途中で止まったまんまだからじれったいッスね。
アマノジャクな私は銀英伝が流行っていた時に今更長編読んで後追いするのもしんどいなと、新刊だったアルスラーンに手を染めたんですが。
「ヤスャシーン!!」の号令のシーンがちょうどその頃惚れてたNHK大河の伊達政宗の「押し出せー!!」という耳新しい突撃命令とダブって、一発で惚れてしまったんですよね。

異論もあるでしょうが、栗本薫がグインでどんなに軍勢同士の戦を描いても、どうしても個人VS個人の剣闘士風に戦いを描くのに対して、さすが銀英伝の田中氏は軍団VS軍団の戦の描き方が上手いんですよね。
うねるように移動して、怒濤のように襲いかかる多人数ならではの戦の捉え方が目に見えるようで。
それにしてもペルシャやムガールあたりを舞台にするという穴場的着眼点ってのもいいですよね。この本がきっかけで、陳舜臣氏の『インド三国志』も読みました。
Commented by odin2099 at 2008-11-30 21:32
>TOMさん

「アルスラーン」はお読みだったのですね。
何だかんだで<グイン>はやっぱり”ヒロイック・ファンタジー”ですから、グインが腕一本でのし上がっていく話。
一方こちらは”歴史小説”の体裁ですから、仮に同じ物語を紡ぐにしても、違った表現の仕方があるということだと思います。
これは作品の内容及び作者の資質、特色の問題なので、優劣の問題とは必ずしも言えないでしょうが、興味深い比較ではありますね。
そういえばどちらの作品も、「三国志」を意識していたんでしたっけ。

しかし、なかなか次が出ないで完結しないお話と、次はどんどん出るけど終らないお話では、どちらが性質が悪いでしょうか(爆)。
by odin2099 | 2008-11-29 22:59 | | Trackback | Comments(2)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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